チキンレースの如く、すき家・吉野家・松屋の大手3社が一歩も引かぬ「牛丼値下げ戦争」。しかし、その三すくみの均衡をついに吉野家が崩しにかかった。「肉増量」「質で勝負」宣言である。その狙いを考察してみよう。


 5月16日付日経MJに「吉野家肉増量 固定客拡大狙う “次世代牛丼”に位置付け」という記事が掲載された。
 記事を読み進めると牛丼並盛りの「肉は従来の85グラムから90グラムに増量する一方、コメは260グラムから250グラムへと減らす」という仕様変更であり、その背景としては「消費者の嗜好の変化などに対応するのが狙い」だとある。何が「次世代」なのかといえば、「具材の分量を見直すのは戦後で初めて」だとあり、かなり戦略的な仕様変更であることがわかる。

 「次世代牛丼」に対して吉野家ホールディングスの安部修二社長も「昨年は値段で客数を回復したが、今期は品質で勝負したい」(asahi.com・5月13日掲載)と抱負を語っている。
 しかし、ネット上の反響を見てみると、「増量といっても、たった5グラムか!誤差範囲ではないのか?」「今までの肉量が少なすぎだったのでは?」というように、決して好意的な反響だけでないこともわかる。「今までが少ない」という意見は、散見される「提供される商品が見本写真と違う」という意見が論拠のようだ。仄聞するところによると、盛りつけは「±10gが許容範囲」というオペレーションもあったようなので、「5グラムは誤差範囲」という指摘もあながち間違いではないかもしれない。そして、総じて「それが次世代か?!」という論調となっている。

 確かに消費者にとっては「たかが5グラム」かもしれない。しかし、吉野家としては「されど5グラム」なのではないだろうか。日経MJの記事には「昨年12月に品質向上への取り組みを開始。具材や調理工程など108項目を修正した」とある。


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