Jリーグ開幕前に放映された『やべっちFC』(テレビ朝日)にて、福田正博氏が「鹿島には計算できるFWがいない」と指摘すると、秋田豊氏が「誰でも得点を奪えるチームなんですよ。それが強さです」と一笑に付した。

この放送では、福田氏がコミカルに扱われたが、アジアチャンピオンズリーグ、グループリーグ第四節・水原三星ブルーウィングス戦。そして、Jリーグ再開となった横浜FM戦後を終えた今では、その目が証明されたといえるだろう。

ゼロックススーパーカップでの名古屋戦に続き、水原戦後も会見の話題となったのは決定力不足だ。もちろん、オリヴェイラ監督は現状を嘆きつつも、この試合で怪我のため途中交代となった田代や、この日に調整が間に合わなかった大迫が復帰すれば解決できると自信をみせた。

しかし、今年に入って行われた数少ない試合で、鹿島が先制点を奪われて勝利を手にした試合はない。昨季以上に、勝ちきれていないのだ。水原戦後、新井場は「勝ち点3を失ったっていう表現になるでしょうね。ここ最近勝ちきれていない。どうすればいいかわかれば教えてください」と自嘲気味に笑ったが、内容は悪くないだけにという思いが伝わってきた。

決定力不足は鹿島だけの課題ではない。だからこそ、得点を奪えるスーパースターたちは高額な金額で移籍をするし、Jでいえば、それを補おうと前線を外国籍選手に託している。G大阪のアドリアーノ、C大阪のピンパォン、名古屋のケネディというように。しかし、鹿島にはそういったFWがいない。福田氏もそれを危惧しており、私は鹿島の課題は外国籍スカウトの目だと思っている。

ただ、逆に言えば、フィニッシャーさえ見つかれば、状況は一変する。昨年、山形で結果を出した空中戦に強い田代。安定感をつけてきたスピードある興梠。ロンドン五輪世代で、飛躍の年になるはずであろう万能型の大迫。彼らFW陣が台頭してきた時、鹿島は勝ちきれるようになり、再び王者に返り咲くはずだろう。(了)