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 “小人の国”と聞けば、真っ先に思い浮かぶのが「ガリバー旅行記」。アイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトが執筆し、300年近くに渡り読み継がれているこの不朽の名作が『シャーク・テイル』で知られるロブ・レターマンの手により映画化され、現在全国で絶賛上映中である。

 この「ガリバー旅行記」の映画化だが、よく考えると結構大変なことだったのではないだろうか。一つの画面に巨大な人間と小さな人が混在する映像は、一歩間違えば、かなりリアリティがないものになってしまう。しかも、映像を合成する場合、どうしても会話のやり取りがスムーズにならない。映画『ガリバー旅行記』はどのように撮影したのだろうか。

 通常、この様な大きさの異なる人間の映像を作る場合、別々に撮影をして、後から合成させるという方法がとられる。しかし、本作は「デュアルモコ」という特殊なカメラで撮影が行われた。このカメラは、巨人のガリバーと小さなリリパット人を同時に撮影するために、複雑なコンピュータ技術と同期するカメラクレーンを利用している。その結果、ガリバー演じるジャック・ブラックと小さなリリパット人を演じる役者たちは、ほとんど同じ場所で同時に撮影することできるようになり、スムーズな掛け合いができるようになったのだ。監督のロブも「ジャックを他のキャストとやりとりさせ、同じ部屋にいるかのように自然に見えるようにしたかった。コメディでは、これは譲れない点だ」とこだわりを見せている。

 またリアル感を出すために、サイズにもこだわったようだ。ガリバーが大き過ぎても、リリパット人が小さ過ぎても違和感が出てしまう。そこで算出された大きさが22:1という比率。このサイズが、一番、巨人と小さな人間が違和感なく文化を創出させていく黄金比率のようである。そのサイズを意識して、リリパット人のつくる“ガリバー専用の生活具”も細部にこだわってつくられた。ガリバーの家の床は一見してみれば普通の床だが、よく目を凝らすと大量の小さな棒きれがあわさっているのだ。このこだわりは圧巻である。

 この様に、細部までこだわってつくられた革新的映像の映画『ガリバー旅行記』。ぜひ3Dにて驚愕の映像を楽しんで欲しい。

映画『ガリバー旅行記』公式サイト
MOVIE ENTER × 『ガリバー旅行記』
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