ジャック・ブラックの面白さの秘密とは？

　2000年公開の『ハイ・フィデリティ』のオタク青年役でブレイクし、主演をつとめた2003年公開の『スクール・オブ・ロック』で全米初登場1位を記録し、ハリウッドのコメディアンスターとしての地位を不動のものとしたジャック・ブラック。彼はなぜこんなに面白いのだろうか。

　『ナチョ・リブレ 覆面の神様 』(2006年)や『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008年)でも彼の太めの体型を活かしたコミカルな動きと、独特のブラックユーモアが光るセリフで観るものを笑いの渦に引き込んだ。そして、『カンフー・パンダ』(2008年)では、主役のポーの声を担当。声の調子だけでも圧倒的な存在感を構築していた。

　4月15日に公開となるジャック主演の最新作である『ガリバー旅行記』でも、その笑いの才を余すことなく発揮している。お調子もので口は達者だが、いざと言う時は尻ごみして何もできない情けないガリバーを、彼が演じることでどこか憎めないキャラクターに仕上がっている。

　彼の面白さの根源は何であろう。それは、映画の中で演じているキャラクターとは裏腹な撮影に取り組む“真摯な姿勢”ではないだろうか。今回の映画『ガリバー旅行記』では、製作総指揮も兼ねていて、アクションシーンにおいて自らを厳しく監督したそうである。ガリバーが単独で敵国と戦うシーンは複数の高速カメラを使って撮影されたが、何百発ものミニ砲弾を撃ち込まれる様を演じたジャックは、上半身を揺らし皮膚を波立たせることで、よりリアルな動きをつくりあげた。さらに砂浜に縛りつけられたり、滑車で身体を引っ張られたり、嵐の中の船上シーンを表すために激しく揺れ動く演技をしたりと過酷な撮影に挑戦した。

　彼の真剣さは、アクションシーンだけにとどまらない。自分の出番がない日も、ガリバーを見上げながら演じる他のキャストのために毎日セットに通い、セリフを読むなどの手伝いをした。これは、半分以上のシーンを特撮用のグリーン・スクリーンの前で演じなければならない他のキャストたちにとって、貴重な助けとなったようだ。

　“笑い”の陰には、弛まぬ努力がある。決して驕らず、真剣な気持ち取り組み姿勢がジャック・ブラックという不動のコメディアン俳優の秘密なのである。

　そんなジャックの渾身の映画『ガリバー旅行記』は、4月15日公開。劇場に足を運んで楽しんできて欲しい。

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