写真/平岡純(第2ラウンドはサスペンデッドになったが、雨にも負けず好調を維持した石川遼)

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石川遼の2度目の出場となった米ツアーのノーザントラスト・オープン。初日は9位タイの好発進を切り、2日目は悪天候の中でスコアを伸ばし、7位タイでサスペンデッドを迎えた。スポンサー推薦で出場している19歳の若者が予選ラウンドとはいえトップ10につけているわけだが、どうしてだか石川を直接取材する米メディアの姿が皆無に近い。そう言えば、練習日に開かれた公式記者会見でも米メディアの出席はゼロ。これは一体、何を意味しているのか。

昨年、石川の米ツアー初挑戦となったこの大会は「Ryo」が合言葉になるほどの賑わいだった。米国人記者たちは顔を合わせれば「Ryo」の発音を尋ね、メディアセンターではあちらこちらで「ヨー」「リオ」が木霊していた。記者会見には50人超の欧米記者が出席。颯爽と登場した石川は準備してきた英語のスピーチを披露し、欧米記者たちを驚かせたり喜ばせたり。

しかし今年は一転して、記者会見の米メディア出席者はゼロ。英語でのやり取りは一切なく、石川は準備してきたと見られる英語のフレーズ「Nothing ventured, nothing gain.(冒険なくてして得るものなし)」を仕方なく日本メディアとのやりとりの中で披露することになった。初日のラウンドは一時は単独2位まで浮上したというのに、ラウンド後の取材はやっぱりゼロ。厳密に言えば1人だけAFP通信の女性記者が来ていたのだが、すぐさま練習場へ直行した石川を見て、取材を断念してしまった。そして今日の2日目も、やっぱり米メディアの取材はなかった。

米国の石川に対する注目や興味は下がってしまったのか?ニューヨークタイムズ紙のラリー・ドーマン記者いわく、「練習日はタイガー騒動や溝問題などネタが山積していて私たち米国人記者はみんな妙に忙しく、リオの会見に出られなかった。だから出席者が居なかったのは単なる偶然。リオへの興味が低くなったわけでは決してない。昨日もゴルフ雑誌の記者数人がツイッターやブログでリオの話を発信していたし、私もちょうど今、Ryoとタイプしようとしていたところだった。19歳のリオは、もちろん今年もグレートストーリーだよ」。AFP通信のレベッカ・ブライアン記者は「去年は好奇心でリオを取材したけど、日本の賞金王になったリオの実力は、もはや実証されている。今年からは成績やパフォーマンスに基づいて取材しようと思っています」。

雨が降り続いた2日目の石川のラウンドを歩いて取材する米メディアの姿は無かったが、ラウンド半ばからは中継局のゴルフチャンネルのテレビカメラがベタ付きとなり、石川の1打1打を捉えていた。代表的な米ゴルフメディアの大半は石川の実績や年齢等々、石川情報が口からすらすら出てくるほどの“石川通”になっており、石川への注目や興味が下がったわけではないことは確か。米国人記者たちによる取材が減ったのは、昨年の「お客さん扱い」から脱却し、今年は「一人前扱い」になったからだと考えていい。こんなところでも石川の成長が実証されたと言えそうだ。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)