先週のコラムの、ロイヤルボックスの後ろで云々ということについてご質問がありましたが、それは一般的に事実です。というのもロイヤルボックスの裏側は基本的に社交場なので、そこにはホテルからのケイタリングが用意され、お酒は当然あるし、タバコを吸えるところもある。さすがに最近はボックス内ではタバコは吸えないが、顔を赤くして座席についている人はみかけます。

とにかく、この問題の結末を見ればわかるように、スポンサーは当然のことながら、協会も賞金を返還されても困ってしまうので、有用に使いなさいというような当たり前のお話になった。そうじゃなかったら、返還されたお金をJリーグが何かの基金にしてもいいわけだ。あの即答振りから見て、そうしたことが検討された様子もないようだね。誰が本気に何をしようかということが不明だった。

オリンピックだって、礼を大事にする柔道選手権だって、負けず嫌いの選手はすぐに金メダル以外ははずしている。選手のひとつのありようだから。今回のことはもっと冷静にやればよかった。誰も得をしない話を大げさに騒ぎすぎたね。

さて、南アフリカでの試合がせまってきた。南アがどの程度の選手を出場させるのか、現段階では不明だけど、相手のホームだから、オランダ戦に次ぐ内容のある試合になると思われるね。香港、スコットランド、トーゴ戦では何も得るものがなかったら、今回は課題をきちんと消化してほしいものだ。

日本は地理的な関係もあって、真剣な試合をするためにはやはり出かけていかないとしょうがないだろうね。いつまでもスポンサーありきや興行としての代表戦という考え方を捨てないとだめだよ。
韓国代表はKリーグを中断して欧州遠征をしているというから、同じような地理関係にある日本もしっかり考えないといけいない。リーグ戦のこともそうだ。 Jリーグで優勝争いをしているチームの選手のモチベーションはどうなのだろうか、怪我をしたくないとかいう不安はあると思うからね。

俊輔がエスパニョールの試合に出るために、代表への合流が遅れるというけど、マリノスに戻れなくて、急遽エスパニョールに行ったということを改めて証明し たにすぎないよ。レギュラー争いをしなくては、ポジションを取れないのはあたり前だからね。そうした俊輔をどう使うのかは岡田監督の問題だ。松井や稲本も試合に出ていないけど招集するのと同じことだ。彼らをどう使うのか、それが監督の力量だね。

そんなことを意識したのか、サッカー協会会長が欧州へ日本人選手の試合を見に行った。それで、森本の試合をイタリアで見て、いきなり香港との公式戦をずらして、イタリア代表とやりたいとか言って香港に断られたり、俊輔の試合を見に行って、スペインとやりたいとかマスコミに向けて発言したりしているけど、来年のことは組み合わせが決まってからじゃないと意味がないよ。マッチメイカーは誰かに任せていかないと、混乱ばかり引き起こすことになる。マッチメイクは会長のおもちゃじゃないんだから。(了)

 

 


セルジオ越後 (サッカー解説者) 

 

18 歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベ ルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さ わやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ 60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中