マリナーズの鈴木イチローが、来週月曜日にセントルイスで行われるオールスターのホームランダービーに、アメリカン・リーグの代表として参加を求められたが断った。その理由を「毎日、ジュニア(ケン・グリフィーJr.)とホームランダービーをしているから」と笑って答えたという。

 以前、シアトルでオールスターが開催されるなら、ホームランダービーに出てみたいと語ったことがあるが、2001年に開催されたばかりで、35歳のイチローの現役中にこれがかなう可能性は低いとオンラインのNPOニュースサイト、シアトル・ポスト・グローブが伝えている。

 イチローがいう「ジュニアとのホームランダービー」とは、試合前のバッティング練習で行っているふたりだけのホームランダービーのことだ(7月7日付シアトル・ポスト・インテリジェンサー)。

 フリーバッティングではそれぞれの選手が何回かバッティングケージに入って投手の球を打つが、最後は5球ずつ打って練習を切り上げる。イチローとグリフィーJr.はその5球でホームラン競争をしている。これはシーズンが始まったときから続けているふたりの楽しみで、なにかを賭けているわけではない。

 火曜日、オリオールズ戦の試合前、グリフィーJr.にその日の結果を訊いてみると「アイツより1本多く打ってやったよ」という答が返ってきた。では、たまにはイチローに勝たせてやることもあるのだろうか? 「バランスを取るために、時々はね」

 それにしても、イチローのあのパワーはどこから生まれているのだろう? グリフィーJr.は「あの小さな尻さ。太ももの裏側の筋肉が長いんじゃないか? アイツの身体はめちゃくちゃ強いよ」という。

 イチローがオールスターという舞台で、プレッシャーをはねのけて、どんな打撃をするか見てみたいものだが? ホームランダービーに7度出場し、3度優勝しているグリフィーJr.は「ホームランダービーにプレッシャーなんてない。出る出ないは個人の好き好きだ。レブロン(ジェームズ。NBAを代表するバスケットボール選手)だって、スラムダンクコンテストに出たことなんかないだろ?」とそっけない。

 イチローに、グリフィーJr.とのホームランダービーについて、どちらが勝っているかを訊いてみると「ぼくに訊かれれば、ぼくのほうが勝ってるというし、ジュニアに訊けばアイツのほうが勝ってるというに決まってる」とうまくはぐらかされてしまった。

 グリフィーJr.との競争は楽しいかという質問には「たぶん、オールスターのホームランダービーよりは楽しいと思うよ。ぼくは出たことないけど」という答。

 通算621本塁打のグリフィーJr.と79本塁打のイチローの競争は、シーズンが終わるまで続きそうだ。