米スポーツ専門誌スポーツ・イラストレーテッドが報道し、米放送局ESPNのインタビューで本人が認めた米大リーグ、ヤンキースの「Aロッド」ことアレックス・ロドリゲス内野手の薬物使用。6〜8年前のことだが、「クリーンな英雄」として人気を得ていたロドリゲス選手のステロイド汚染は、大リーグファンに大きな衝撃を与えた。

大リーグの薬物使用は以前から問題視されており、2004年に罰則を設定。しかし、07年に元米上院議員ジョージ・ミッチェル氏が提出した「ミッチェル報告書」では、薬物使用経験がある89選手の実名を挙げられた。この89選手に含まれていなかったことから、ロドリゲス選手は同年に米放送局フォックスのインタビューを受けている。

その際、自身の薬物使用を否定し球界の薬物蔓延を嘆いていたが、インタビュー映像を専門家が調査したところ、ロドリゲス選手は表情や動きで「ウソ」のサインを出していたことが明らかになったと、米紙ニューヨーク・タイムズが報じている。

調査を行ったのは、米心理学者のポール・エークマン博士。ロドリゲス選手はこのインタビューで、ミッチェル報告書の結果を「野球の巨大な闇」「たいへん失望する」と語って肩を3回すくめたが、その際に左肩だけを上げていた。エークマン博士によると、この片方だけの肩を上げる行動は「厳しい質問に直面し無力感を得たとき、もしくは自分への告発を感じたときに示す」という。これは「他の選手の薬物使用に気づいたか」という質問に回答した際にも見られた。

また、自身の薬物使用に関する質問をされたときは、唇の端を上げたり、唇を真一文字に結んだりしている。エークマン博士はこれらの行動を、前者は「相手への軽蔑」や「怒り、驚き、恐れ、悲しみ」などを表し、後者は「自分が信じてもらえず、追及される」という恐れを隠す行為としている。

エークマン博士は「表情やしぐさからウソを読み取ることは、ウソ発見器に対抗するシステムとしてメディアにも注目されている」「今回のインタビューでも多くの“証拠”を見つけた」としつつも、「この方法は決して確定的なものではなく、すべてのウソが発見できるというわけでもない。一部のウソつきは、表情やしぐさを隠すことが得意だ」と同紙に述べている。