トヨタ自動車が経営赤字千五百億を発表したのは、先日の22日。11月の中間決算発表時点では黒字六千億円だったにもかかわらず、今回の本年度決算は千五百億の赤字に大幅下方修正したのは日本だけではなく、世界が驚いた。23日付の米紙ニューヨークタイムズ紙には「トヨタでさえ赤字」という見出しで一面を飾った。
トヨタの渡辺社長は「厳しさは予想を上回るスピードと、早さ、深さで拡大している。かつてない緊張状態」と述べ、経営、生産体制を根本的に見直す姿勢を示した。トヨタ自動車の赤字は指摘されていたが、社長が苦言を述べる程深刻になっていた。
トヨタ自動車は2008年三月期決算で過去最高益二兆二千七百億を計上した。しかし、今では来年の販売台数でさえ見通しが立たない状態だ。出口のない景気悪化は「世界のトヨタ」でさえ苦境に追い込んだ。



愛知県に行く機会があったので、豊田市に足をのばしてみた記者。
先にも書いたがトヨタ自動社が経営赤字を発表したのが22日で、訪れたのは24日。時期的にはクリスマスと年末商戦という一番金が回る時期であり、市街は買い物客で賑わう。しかし、豊田市駅前には人がいない。

豊田市駅前は百貨店「松坂屋」等があり、商業施設が集まっている印象があるが、客が多いという感じは受けなかった。少し、駅前を散策してみると、本当に人がいない。カフェや飲食店を覗いてみると、人が2,3人いるだけだった。
訪れたのが、平日と言うのもあるかもしれないが、ここまで人がいないものだろうか?と疑問に思うほどだった。



そして、26日にトヨタ自動車名古屋本社を訪れた。
ここは経営赤字を記者会見した場所でもある。名古屋駅前にある「ミッドランドスクエア」。これはトヨタ自動車、東和不動産、毎日新聞社が共同所有しているビルで、オフィス塔と商業塔があり、もちろんトヨタ自動車のショールームもある。トヨタが世界に誇る高級車「レクサス」のショールームだ。しかし、そこにも人がいない。



商業塔を見渡すと活気と言うものがなく、閑散としている。そこはディオールやルイ・ヴィトンといったハイブランドのショップが並び、高層階にはレストランもあり、デートスポットとしても有名な場所だ。
記者は2007年の商業塔が開館して間もないころ、行った事がある。当時は話題性や、名古屋駅前と言うこともあって、人がごった返していた。

ホームレスを対象とした無料の一時宿泊施設と自立支援設計三十ヶ所の入居者が、十一月末時点で昨年同期より15%増加したことが、30日付の中日新聞に発表されていた。名古屋市では昨年から比べると86%も増加している。名古屋市が増加した背景には施設のない自治体から、施設のある名古屋市への流入がある。これは、名古屋市に限ったことではなく、大都市への流入増加が懸念されている。

物づくりで有名な愛知県。それが世界同時不況で「世界のトヨタ」でさえ赤字。そもそも、日本は資源が乏しい分、物を作ることで経済発展をしてきた。愛知県が日本の縮図に見えた。
(編集部:吉岡 輪)

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共同