堀江公判 17日の被告人質問(3)
会計の知識
── LDの社長の時に、公表前の連結・単体の損益計算書、貸借対照表を見ていましたよね。
見たことはある。
── 04年9月期で、売り上げ、売上原価、販売管理費、営業利益、経常利益、当期純利益が損益計算書のどこを見ればいいのか分かっていましたよね。
それは分かっていました。少なくとも営業利益、経常利益、当期純利益は分かる。
── 売り上げ、売上原価、販売管理費、営業利益、経常利益、当期純利益の意味は分かっていましたよね。
── 有価証券、現金、預金、売掛金、資本金の意味は知っていましたよね。
意味は分かりました。
── 貸借対照表のどこを見ればいいか分かっていたか。
そこを見れば、というより、その字を探せばいいんじゃないですかね。
── 資本金が資産ではないのは分かるか。
ああ、分かります。
── ある会社がモノを売って、入ってきたお金の勘定科目は分かるか。
現金預金じゃないんですか。何を言いたいんですか。
── 売り上げの科目ということは分かるか。
ああ、そういう意味ですか。(挑発するように)聞き方が悪かったんで、分かりませんでした。すみません。
── 銀行から借りたお金は。
借入金ですか。
── そうですね。新株を発行することを増資ということは分かるとおもうが、そうやって入ってきたお金のことは何というか知っているか。
何を言いたいのか分かりません。すみません。お金が入ってきたら預金になるんじゃないですか。
── 出資金になるのではないのか。
だったら、「出資金ですよね」と言ってくれた方がいい。クイズやっているんじゃないんだから。
── 会社がモノを売ったら、どう会計処理をするのか知っているか。
損益計算書では売上高にするんでしょ。すいませんね、僕も会計士みたいにビシッと答えられないので。
── 反対科目は。
資本の部じゃないですか。
── それくらいは知っているんですね。
はい。
── 性格の違う入金があることは分かるか。
それくらいのことは分かる。
── 株主は会社に対する出資者ですよね。
でしょうね。
── 会社が株主から株を買ったら払い戻しになることは分かるか。
何かピンとこない、それ。ごめんなさい。
── 会社が株主に払い戻しをすることは。
払い戻しをするということを考えたことがないので、分かりません。
── 払い戻しをした時に、貸借対照表のどこがどうなるかは分かるか。
この件(LDへの一連の捜査や裁判)があってから、いろいろ勉強したんですよ。貸借対照表が縮むんだっけ。現金が減って、右側の資本の部も減るんで。違うの?
── 会社が株主から購入した時は、どうなるのか知っているか。
考えたことがない。
── 7日に行われた第21回公判では、01年の証券取引法改正まで原則として株式会社が自社株を取得することはいけないと知っていたと証言していたが。
はい。
── その意味は分かるか。
保釈されてから公判のために勉強したが、何でダメかよく分からない。何でなんですかね。
── “自己株式を取得して、その株式を第3者に売る”ことと、“自己株式を取得して償却し、新株を発行して第3者に売る”ことは同じことではないか。
経済的効果は分からない。お金が入ってくるということは同じだと思うが。
── (質問者が高橋久志検察官に交代する)現代は証券市場が発展しているが、例えば株主が10人しかいない時、それぞれが100万円を出資すると、資本金は1000万円になる。そのうち2人から買うと、200万円の出資の払い戻しになることは分かるか。
何かピンとこない。出資の払い戻しといわれてもピンとこない。株主が減ったなあ、としか思わない。
── 単純に10人から株を会社が買ったら、出資金の払い戻しを分からないか。
そういうものなんだと言われたら、確かにそうかもと思うが、そういう風に考えたことはないですね。
堀江被告の資産
── (質問者が藤野検察官に戻る)個人資産として、LD株をたくさん持っていますよね。
はい。
── その他に何があるのか。
現金。
── どれくらいか。
30億はある。
── 現預金している部分だけでか。
あれ、現預金していなかったのかなあ。現金だと思っていたのは有価証券だった。30数億円と言おうと思ったら、そのうち30億円は有価証券だった。
── LD株を除く有価証券は。
100何10億。ファンドって有価証券なんですかね。
── ファンドの持ち分も有価証券として。
なら100数10億です。
── それ以外の代表的な資産は。
それ以外…。自分。(間をおいて)すみません。
── 昨年、飛行機を買ったということだが。
それはファンドが持っているんです。
── 車は。
持っていますけど、30億円に比べれば大したことはないので。個人で持っているのは2台。
── 購入価格は。
時価?買った値段?
── 買った値段で。
合わせて2000万円ぐらい。
── 「個人で」というなら、他(ほか)は。
僕が持っている会社の車。90パーセントぐらい株を持っている「指紋認証システム」という会社なんですけど。
── いくらくらい。
9000万円くらい。有価証券に含めたつもりなんですけど。
── ほかに代表的なものは。
どの程度を代表的というのか。
── じゃあ、1000万円以上。
うーん、ないですね。
── 有価証券はどうやって取得したのか。
LD株を売ったお金で。、
── 車もLD株を売ったお金で買ったのか。
いやー、あれはローンですね。LD株を売る前に買っていますので。
── ところであなたは公判廷で、LD株を売って140億円になったと言っていた。タイミングについて、ニッポン放送の争奪戦が終わって、インサイダー情報がなくなっていい時期だから売ったということだが、もう少し詳しく教えてもらえるか。
これ以上、詳しく言う必要がありますか。
── あなたはインサイダー情報を持っている時期が多かったか。
持っている時期が多かったです。
── インサイダー取引にならないように、そのときに売ろうと思ったのか。
いつの時点ですか。私が常にLD株を売ろうと思っていて、インサイダーを気にしていたということはない。
── あなたはLD株を売ろうと思った時には、インサイダー取引になるのかどうか気にしていたのか。
いやー、僕は自発的に売ろうと思ったことはないですね。
── でも、LD株を140億円で売ったという話は。
僕は熊谷や宮内さんに「売れ売れ」と言われていた。ニッポン放送が終わってインサイダーにならないです、と。僕が気にしていたわけではなく、彼らが気にしていた。僕は売るつもりがなかったですしね。「会社のためですよ」「社長、株を売ったらファンドの管理をやらせてください」とか言われた。持分比率が下がるし、キャッシュを使う暇もないですし、売りたくねえなー、と思うんですよ。
── LD株が上場した時点では、どれくらい持っていたのか。
400−500億ぐらい持っていたと思う。
── 持分比率は。
50パーセント以上。
──四季報には61パーセントとある。
四季報に書いてあれば、そうじゃないか。(つづく)
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