セブン、ローソンが実質値引きで「食品ロス」減らしに動いたワケ/リサーチャー・馬渕磨理子

写真拡大

「あの企業の意外なミライ」を株価と業績から読み解く。滋賀県出身、上京2年目、犬より猫派、好きな言葉は「論より証拠」のリサーチャー・馬渕磨理子です。

 私はこれまで、上場銘柄のアナリストとしてさまざまな企業の業績予測、市況予測を行ってきました。また、自身で株式投資を5年以上に渡って行い、市場に向き合ってきました。

 本企画では、そんなリサーチャーである私馬渕の視点からみなさまに「あの企業の意外な情報」をお届けます。

◆大手コンビ二が「食品ロス」対策に力を入れるワケ

 今回取り上げるのは、「令和時代のコンビニ業界の未来」です。

 特にフォーカスを当てるのは食品ロスへの取り組みです。

 毎日、大量の食品が廃棄されているコンビニ。現在、1日当たり380〜600トンの食品が全国のコンビニで廃棄されています。しかし、各報道機関の発表によると、2019年秋より各大手コンビニチェーンは食品ロスに本腰を入れるようです。

 賞味期限が迫ったおにぎりやお弁当を買った客に対して、セブン‐イレブンは今秋からnanacoポイントを数%上乗せし、ローソンも10%実質値下げすることを発表しました。
 なぜ食品ロス問題に重い腰を上げたのか。その深い理由を紐解いていきましょう。

◆令和コンビニ改革、キーワードは「iPhone化」

 最近のコンビニといえば、24時間営業や人材難の問題が出てきていることはニュースで知っていることと思います。新規出店数は頭打ちの状態となっていますし、本部と加盟店の利益分配を含めて、従来通りの売上が見込めなくなるのは間違いありません。

 そこで、この状況を打破したいコンビニ各社の決算発表で目立ったのは、加盟店舗のサポートを手厚くすること。

 たとえば、セブンアンドアイHDの決算発表では、『今まで総額投資の60%を新規出店に充てていたが、2019年度は既存店の強化に60%以上を充てる』と述べています。

 これはどういうことでしょうか。

 同社のレポートを読み解くと、具体的には下記のような施策が実行されるそうです。

【令和コンビニ改革の一例(これまでの店舗を大事にする戦略)】
・AI発注の実験
・セルフレジの導入
・既存店のレイアウト変更への投資
・商品の陳列がしやすいスライド式棚の導入
・派遣会社との連携(加盟店からの人材のSOSに対応するため)
・空気圧を変えるエアコン導入による掃除を楽にするなどの試み(店舗へゴミが入りにくくなります)

 簡単に言えば、「拡大路線」から「メンテナンス路線」、あるいは「アップデート路線」への切り替えと言えるのではないでしょうか。

 スマホで例えると、最新のiPhoneを購入するのではなく、今持っているiPhoneのアップデートを実行するイメージです。そして、その本丸とも言えるのが、今回話したい主題、フードロスの試みです。

◆マクドナルドも実行した「食品ロス対策」のスゴさ

 フードロスの最大のメリットは、見切り売りを行うことで、廃棄ロスを減らし加盟店オーナーの損失を減らすこと。すでにフードロスで業績を回復した世界的企業がありますがご存知でしょうか。

 それは、マクドナルドです。

 2014年に中国のサプライヤーが使用期限切れの鶏肉を使用していた疑いが発覚し、2015年には国内で商品に異物が混入する問題が発生したことから客離れが進み、業績が低迷していた同社。

 この危機的状況に対し、マクドナルドは新メニューの開発やキャンペーンなどの施策に加え、食品ロスを削減し、収支管理を徹底していきました。

 その結果、すごいことが起きます。

 経常利益の推移を見ると、

2015年:▲234億円
2016年:69億円
2017年:189億円