霜降り明星 粗品、松本人志へ思い込めたR-1決勝「見ててください!」
●繰り返す準決勝敗退「辞めようと」
10日にカンテレ・フジテレビ系で生放送された“ひとり芸”ナンバーワン決定戦『R-1ぐらんぷり2019』の王者に輝いたお笑いコンビ・霜降り明星の粗品が、優勝決定後の興奮さめやらぬ中、マイナビニュースのインタビューに応じた。
会見でも見せた相方・せいやとのコンビ愛や、高校時代から出場する『R-1』への思いなどを語る中、あの大物芸人の話題になると、ひときわ熱くなる姿があった――。
○■せいやが一番面白い
――優勝会見で、粗品さんの優勝を喜んでくれたせいやさんに「早く会いたい」とおっしゃっていて、強いコンビ愛を感じました。
あいつしか信じてないんですよね。せいやが一番面白いんですよ。あいつは性格も良いし、人間ができてますから、嫌うところが1つもないんです。
――そうすると、今回の決勝でせいやさんの敗者復活を、粗品さんも相当願っていたんですね。
そうですね。自分だけでいっぱいいっぱいではあったんですけど、せいやが上がってきたら霜降り明星にとって絶対プラスになりますから。だから、めちゃくちゃ願ってましたね。
――しかし、残念ながらせいやさんの敗者復活はなりませんでした。少しモチベーションが落ちた部分もあったんですか?
自分が落ちたような感覚というのは言いすぎかもしれないですけど、たしかに少しありましたね。でも同時に、こうなったら優勝以外は意味ないなと思ったんです。せいやが勝ち上がってきたら、「霜降り明星2年連続そろって決勝で対決」という面白い記録があったんですけど、それがなくなった時点で、僕が2位以下で終わるのはあり得ないと。
――気を引き締め直したんですね。コンビの芸人さんは、プライベートでは全然話さないという方が多いですが、霜降り明星さんはそうではないんですよね。
さすがに毎日飲みには行きませんし、ある程度のビジネスの関係ではあるんですけど、普通にしゃべりますね。
――それは結成してから変わらない関係なんですか?
ずっとそうなんです。やっぱり、せいやだけが味方だと思ってるので、仕事の愚痴とかをせいやと笑いながらするんですよ。「なんやねんあいつ」とか「あいつの態度腹立ったぁ」ってこっそり言い合って、上を目指すっていう(笑)
――ゆりやんレトリィバァさんとの謎の三角関係のときも?
ゆりやんのその話はええわ!(笑)。そのときも、俺とせいやで「ゆりやん、もうええねんあいつ…」っていうのは、ずっと言ってましたよ(笑)
――ピンで活動されるときもありますが、そのときはライバルとしてせいやさんを見るんですか?
いや、それはないですね。「霜降り明星のせいや」でテレビに出てくれているんで、「ありがとう」という感じです。
○■納得いかない負け方も
――『M-1グランプリ』『R-1ぐらんぷり』をいずれも最年少で制覇されて、非常に順調な芸人人生を歩んでいるように見えるのですが、これまでに壁にぶち当たったことはあるのでしょうか?
実はこの『R-1』だけが、今までうまくいったことがなかったんですよ。ちょっと納得のいかないような負け方したこともありますし、何回も準決勝で落ちて(2011・13〜17年)いて、『涼宮ハルヒの憂鬱』というアニメで8月がループする「エンドレスエイト」にかけて、2月に準決勝で落ちる「エンドレスツー」と自分で呼んでいたんです。はっきり覚えてるのは、復活ステージのシステムが最初にできた年。当時は3人行けたんですけど、そのときが一番悔しくて、「決勝進出者発表します」って言われても名前呼ばれなくて「またかよ…」って。もうそのときは辞めようと思いましたね、間違いなく。
――せいやさんにも相談したんですか?
それと同じタイミングくらいで、『M-1』も3回戦で落ちたんですよ。それで、せいやも辞めるっていう感じだったんですけど、2人で飲みに行って「もうちょっとだけやってみようか」となって、次の年の『M-1』は準決勝に行けて、「まだいけるかも」ってなったんです。それでも『R-1』は「また去年と一緒で準決勝敗退」って。一応すねずに、復讐(しゅう)に燃えながらやってきたんですけどね。そんな中で、これは何かきっかけがないといけないと思っていたんですが、今考えてみると去年の『M-1』で優勝できたことで、気の持ちようが変わったのかなという思いもありますね。
●温まりすぎた観客に不安感
――今年の『R-1』は会場のお客さんがものすごく温まってましたよね。
初めてですよ、あんなに温まっていたのは。『R-1』史上でもエグかったですよね。でも僕は、最初Aブロックの人たちがめちゃくちゃウケているとき、ちょっと嫌やなと思ったんですよ。『M-1』のときは、結構スタジオがキツめの空気やった中、僕らが突き抜けることができたというのがあったんですけど、今回は“突き抜けしろ”がないやんけって思ってたんです。だから、全員団子になってめちゃくちゃウケて、審査どうなんねんって思ってたので、運もあるのかなって思いました。
――実際、ファーストステージでもファイナルステージでも、得点が並びましたもんね。あの、同点の場合は投票人数が多いほうが勝ちというルールは知っていたんですか?
いや、それが知らなかったんです。最初、(おいでやす)小田さんと並んだとき、カンペに「多くの審査員が支持したほうが勝ち」と出てたんですけど、僕は言葉の意味を全く勘違いしてて、2票が3発入ってる小田さんのほうが勝ったと思ったんですよ。票の厚みがあるほうが勝つのかなと思って。でも、1票ずつ入った僕のほうが勝ちということだったので、それはうれしかったですね。
――じゃあ、一瞬落胆してからの喜びだったんですね。
えーーー俺かーーー!!って最初思いました(笑)。でも、ファイナルステージの採点のときは、最後に渡辺(正行)さんが(セルライトスパ)大須賀さんに1票、僕に2票入れてくれたじゃないですか。それが入る前に、渡辺さんが2票を俺に入れてくれたらその時点で勝ちやなって計算はできてました。
――かなり冷静だったんですね。
そうですね、わりと冷静でした。
○■松本人志に見せたいネタがある
――今回優勝されてどんどん仕事が入ってくると思いますが、全国ネットのお笑い賞レースで優勝すると、また松本人志さんの『ワイドナショー』に呼ばれるのではないでしょうか?
そうですね、呼んでいただけたら楽しみです。松本さんは「番組に私は関わっていないのですが。本日R-1ぐらんぷり。みんな見てね〜」ってTwitterでつぶやいてたんですよ。めちゃくちゃすごい人ですよね! お笑いのことをどんだけ担ってるんだ!って思いましたよ。あのツイートを見て、決勝は「松本さん、見ててください!」っていう思いでやりましたから。
――『M-1』の最終決戦で松本さんは霜降り明星さんではなく、和牛さんに投票しましたが、今回は見返したいという思いもあったんですか?
それはあんまり関係ないですね。松本さんが和牛さんに入れた意味はめっちゃ分かりますから。ただ、『ワイドナショー』に呼んでいただけたら、松本さんに見せたいネタもあるんです。松本さんを笑かしたいっていうのは、芸人の目標ですからね。
○■テレビ業界・お笑い界を盛り上げる野望
――霜降り明星さんが出演していたバラエティ番組『AI-TV』(フジテレビ)が昨年3月に終了した後に『M-1』『R-1』優勝、出演メンバーだったゆりやんさんも売れて、最近では四千頭身さんも頭角を現しています。『AI-TV』がもう少し続いてたら…という思いもあるのではないでしょうか?
あそこで終了したのは、メンバー・スタッフ全員が悔しかったですからね。もし機会をいただけるのであれば、同じようなメンバーで番組を作って、テレビ業界、お笑い界を盛り上げたいという野望は、僕もせいやもめちゃくちゃあります。
――4月からついに東京進出ということですが、次の目標としてそうした芸人さんたちの“ユニットバラエティ”というのもありますでしょうか?
そうですね。うちらの世代は、ハナコもいるし、濱田祐太郎もいるし、カミナリもいるし、めちゃくちゃいますから。それと、目標としてはベタですけど、やっぱり売れたいですね。何周も回った上での“売れたい”です。今はありがたいことに忙しくさせてもらってますが、これを維持して皆さんから愛されるように、お笑いやりたいです。
――最後に、粗品さんにとって『R-1ぐらんぷり』とは?
今までは“復讐”でしたが、やっぱり優勝して変わりました。“標”です。『R-1』に一喜一憂させられましたけど、今の僕がいるのは『R-1』のおかげなので、“標”です。
●霜降り明星 粗品
1993年生まれ、大阪府出身。芸歴8年目。主な受賞歴は、『第38回ABCお笑いグランプリ』優勝(2017年)、『第7回ytv漫才新人賞』優勝(2018年)、『M-1グランプリ2018』優勝。
10日にカンテレ・フジテレビ系で生放送された“ひとり芸”ナンバーワン決定戦『R-1ぐらんぷり2019』の王者に輝いたお笑いコンビ・霜降り明星の粗品が、優勝決定後の興奮さめやらぬ中、マイナビニュースのインタビューに応じた。
会見でも見せた相方・せいやとのコンビ愛や、高校時代から出場する『R-1』への思いなどを語る中、あの大物芸人の話題になると、ひときわ熱くなる姿があった――。
――優勝会見で、粗品さんの優勝を喜んでくれたせいやさんに「早く会いたい」とおっしゃっていて、強いコンビ愛を感じました。
あいつしか信じてないんですよね。せいやが一番面白いんですよ。あいつは性格も良いし、人間ができてますから、嫌うところが1つもないんです。
――そうすると、今回の決勝でせいやさんの敗者復活を、粗品さんも相当願っていたんですね。
そうですね。自分だけでいっぱいいっぱいではあったんですけど、せいやが上がってきたら霜降り明星にとって絶対プラスになりますから。だから、めちゃくちゃ願ってましたね。
――しかし、残念ながらせいやさんの敗者復活はなりませんでした。少しモチベーションが落ちた部分もあったんですか?
自分が落ちたような感覚というのは言いすぎかもしれないですけど、たしかに少しありましたね。でも同時に、こうなったら優勝以外は意味ないなと思ったんです。せいやが勝ち上がってきたら、「霜降り明星2年連続そろって決勝で対決」という面白い記録があったんですけど、それがなくなった時点で、僕が2位以下で終わるのはあり得ないと。
――気を引き締め直したんですね。コンビの芸人さんは、プライベートでは全然話さないという方が多いですが、霜降り明星さんはそうではないんですよね。
さすがに毎日飲みには行きませんし、ある程度のビジネスの関係ではあるんですけど、普通にしゃべりますね。
――それは結成してから変わらない関係なんですか?
ずっとそうなんです。やっぱり、せいやだけが味方だと思ってるので、仕事の愚痴とかをせいやと笑いながらするんですよ。「なんやねんあいつ」とか「あいつの態度腹立ったぁ」ってこっそり言い合って、上を目指すっていう(笑)
――ゆりやんレトリィバァさんとの謎の三角関係のときも?
ゆりやんのその話はええわ!(笑)。そのときも、俺とせいやで「ゆりやん、もうええねんあいつ…」っていうのは、ずっと言ってましたよ(笑)
――ピンで活動されるときもありますが、そのときはライバルとしてせいやさんを見るんですか?
いや、それはないですね。「霜降り明星のせいや」でテレビに出てくれているんで、「ありがとう」という感じです。
○■納得いかない負け方も
――『M-1グランプリ』『R-1ぐらんぷり』をいずれも最年少で制覇されて、非常に順調な芸人人生を歩んでいるように見えるのですが、これまでに壁にぶち当たったことはあるのでしょうか?
実はこの『R-1』だけが、今までうまくいったことがなかったんですよ。ちょっと納得のいかないような負け方したこともありますし、何回も準決勝で落ちて(2011・13〜17年)いて、『涼宮ハルヒの憂鬱』というアニメで8月がループする「エンドレスエイト」にかけて、2月に準決勝で落ちる「エンドレスツー」と自分で呼んでいたんです。はっきり覚えてるのは、復活ステージのシステムが最初にできた年。当時は3人行けたんですけど、そのときが一番悔しくて、「決勝進出者発表します」って言われても名前呼ばれなくて「またかよ…」って。もうそのときは辞めようと思いましたね、間違いなく。
――せいやさんにも相談したんですか?
それと同じタイミングくらいで、『M-1』も3回戦で落ちたんですよ。それで、せいやも辞めるっていう感じだったんですけど、2人で飲みに行って「もうちょっとだけやってみようか」となって、次の年の『M-1』は準決勝に行けて、「まだいけるかも」ってなったんです。それでも『R-1』は「また去年と一緒で準決勝敗退」って。一応すねずに、復讐(しゅう)に燃えながらやってきたんですけどね。そんな中で、これは何かきっかけがないといけないと思っていたんですが、今考えてみると去年の『M-1』で優勝できたことで、気の持ちようが変わったのかなという思いもありますね。
●温まりすぎた観客に不安感
――今年の『R-1』は会場のお客さんがものすごく温まってましたよね。
初めてですよ、あんなに温まっていたのは。『R-1』史上でもエグかったですよね。でも僕は、最初Aブロックの人たちがめちゃくちゃウケているとき、ちょっと嫌やなと思ったんですよ。『M-1』のときは、結構スタジオがキツめの空気やった中、僕らが突き抜けることができたというのがあったんですけど、今回は“突き抜けしろ”がないやんけって思ってたんです。だから、全員団子になってめちゃくちゃウケて、審査どうなんねんって思ってたので、運もあるのかなって思いました。
――実際、ファーストステージでもファイナルステージでも、得点が並びましたもんね。あの、同点の場合は投票人数が多いほうが勝ちというルールは知っていたんですか?
いや、それが知らなかったんです。最初、(おいでやす)小田さんと並んだとき、カンペに「多くの審査員が支持したほうが勝ち」と出てたんですけど、僕は言葉の意味を全く勘違いしてて、2票が3発入ってる小田さんのほうが勝ったと思ったんですよ。票の厚みがあるほうが勝つのかなと思って。でも、1票ずつ入った僕のほうが勝ちということだったので、それはうれしかったですね。
――じゃあ、一瞬落胆してからの喜びだったんですね。
えーーー俺かーーー!!って最初思いました(笑)。でも、ファイナルステージの採点のときは、最後に渡辺(正行)さんが(セルライトスパ)大須賀さんに1票、僕に2票入れてくれたじゃないですか。それが入る前に、渡辺さんが2票を俺に入れてくれたらその時点で勝ちやなって計算はできてました。
――かなり冷静だったんですね。
そうですね、わりと冷静でした。
○■松本人志に見せたいネタがある
――今回優勝されてどんどん仕事が入ってくると思いますが、全国ネットのお笑い賞レースで優勝すると、また松本人志さんの『ワイドナショー』に呼ばれるのではないでしょうか?
そうですね、呼んでいただけたら楽しみです。松本さんは「番組に私は関わっていないのですが。本日R-1ぐらんぷり。みんな見てね〜」ってTwitterでつぶやいてたんですよ。めちゃくちゃすごい人ですよね! お笑いのことをどんだけ担ってるんだ!って思いましたよ。あのツイートを見て、決勝は「松本さん、見ててください!」っていう思いでやりましたから。
――『M-1』の最終決戦で松本さんは霜降り明星さんではなく、和牛さんに投票しましたが、今回は見返したいという思いもあったんですか?
それはあんまり関係ないですね。松本さんが和牛さんに入れた意味はめっちゃ分かりますから。ただ、『ワイドナショー』に呼んでいただけたら、松本さんに見せたいネタもあるんです。松本さんを笑かしたいっていうのは、芸人の目標ですからね。
○■テレビ業界・お笑い界を盛り上げる野望
――霜降り明星さんが出演していたバラエティ番組『AI-TV』(フジテレビ)が昨年3月に終了した後に『M-1』『R-1』優勝、出演メンバーだったゆりやんさんも売れて、最近では四千頭身さんも頭角を現しています。『AI-TV』がもう少し続いてたら…という思いもあるのではないでしょうか?
あそこで終了したのは、メンバー・スタッフ全員が悔しかったですからね。もし機会をいただけるのであれば、同じようなメンバーで番組を作って、テレビ業界、お笑い界を盛り上げたいという野望は、僕もせいやもめちゃくちゃあります。
――4月からついに東京進出ということですが、次の目標としてそうした芸人さんたちの“ユニットバラエティ”というのもありますでしょうか?
そうですね。うちらの世代は、ハナコもいるし、濱田祐太郎もいるし、カミナリもいるし、めちゃくちゃいますから。それと、目標としてはベタですけど、やっぱり売れたいですね。何周も回った上での“売れたい”です。今はありがたいことに忙しくさせてもらってますが、これを維持して皆さんから愛されるように、お笑いやりたいです。
――最後に、粗品さんにとって『R-1ぐらんぷり』とは?
今までは“復讐”でしたが、やっぱり優勝して変わりました。“標”です。『R-1』に一喜一憂させられましたけど、今の僕がいるのは『R-1』のおかげなので、“標”です。
●霜降り明星 粗品
1993年生まれ、大阪府出身。芸歴8年目。主な受賞歴は、『第38回ABCお笑いグランプリ』優勝(2017年)、『第7回ytv漫才新人賞』優勝(2018年)、『M-1グランプリ2018』優勝。