男性の不妊手術(パイプカット)は安全で成功率が高く、生殖能力を元に戻すことも可能
by stevepb
男性が避妊をする方法として一般的なのは性行為時のコンドーム着用ですが、「これ以上は子どもを作る気がない」という男性の中には、不妊手術(パイプカット)を行って生殖能力をなくしてしまう人もいます。そんなパイプカットがどのように機能するのか、一度パイプカットをしても再び生殖能力を取り戻すことができるのかといった疑問について、The Comversationがまとめています。
https://theconversation.com/explainer-how-does-a-vasectomy-work-and-can-it-be-reversed-110780
男性の中には「生殖能力を絶ってしまうなんてとんでもない」と思う人もいるかもしれませんが、人生や家庭の計画を立てた上で「これ以上子どもができると困る」と感じる男性にとっては、パイプカットは非常に効果的な選択肢となります。いちいち避妊をしなくても、パイプカットで精液中の精子をなくしてしまえば、それ以降にうっかり妊娠してしまう可能性はありません。
一般的にパイプカットとは、男性の精巣に蓄えられた精子をペニスまで運ぶ精管を切除する精管切除術のことです。精管で運ばれた精子は前立腺で精液と混ぜられ、性行為によって精液と共に放出されます。そのため、パイプカットを行ったからといって精液自体が出なくなってしまうわけではなく、精子を含まない精液はパイプカット後も放出されるとのこと。なお、精液全体のうち精子が占める割合は2〜5%ほどであり、パイプカットしてからも精液の量もほとんどかわらないそうです。
パイプカットの手術は局所麻酔によって行われることが多く、通常は15〜30分ほどで手術が完了するとのこと。メスを使わない場合、特殊な器具を用いて陰嚢(いんのう)に穴を空けて切開することなく精管にアクセスし、パイプカットを行います。外科医がメスを使ってわずかに切開する伝統的な手術もいまだに行われていますが、穴を空けての手術は傷が小さくて済む上に患者の負担も少ないため、よりよい手術法だといわれています。
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ほとんどの手術では精管のうち1〜2cmほどを切除するそうで、手術後も精管が自然に再結合しないように調節されます。精管の端部を閉じる方法には精管の端を焼いて閉じる方法と、精管を結ぶ方法の2種類があるとのこと。なお、パイプカットを行うとペニスが勃起しなくなってしまうのではないかと心配する人もいますが、パイプカットはペニスそれ自体に影響を及ぼすわけではないので、パイプカットをしても性行為自体は可能です。
医療の発達によってパイプカット手術の成功率は99%を超えるほどになっており、感染症や内出血などの合併症のリスクも1〜2%と非常に低くなっています。このリスクはメスを使わない手術だとさらに下がるとのこと。また、パイプカット後に陰嚢の痛みを訴える男性も2%ほどいるそうですが、精管の陰嚢に近い端を閉じないで解放させたままにしておく「オープン・エンデッド方式」では、陰嚢の痛みを最小限に抑えることができるとされています。一見すると、陰嚢に近い側の精管を閉じておかないのは不都合が起きそうにも感じますが、術後の痛みが少ないオープン・エンデッド方式のパイプカットは近年人気を集めているとのこと。
パイプカット手術を受けた人が忘れてはならないのは、「術後もしばらくは精管の中に精子が残っている」という点です。そのため、パイプカット後に数回の射精を行って精子を出し切る必要があり、不妊の効果が確かめられるのは術後3カ月ほど経過してからといわれています。その期間中に性行為をする場合には、しっかりとコンドームなどで避妊を行わなければなりません。
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また、パイプカット手術を受けた後で「やっぱり生殖能力を再生させたい」と考える人もおり、パイプカットを受けた人のうち3〜6%の人々は精管の再結合手術を選択するとのこと。精管の再結合を行ったケースのうち80%ほどが再び妊娠に成功しているそうです。
精管の再結合を行って生殖能力が戻る可能性はパイプカット手術から経過した期間が短いほど高く、オープン・エンデッド方式での処置は生殖能力の回復可能性が高まるそうです。一方で失った生殖能力が戻らない可能性も少なくないため、パイプカットを選択する場合には慎重に検討する必要があります。
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