硬い表情で外務省に入る李洙勲・駐日大使=9日、東京(聯合ニュース)

写真拡大

【東京聯合ニュース】日本外務省の秋葉剛男事務次官は9日、韓国の李洙勲(イ・スフン)駐日大使を呼び出し、韓国の強制徴用被害者が申請していた新日鉄住金の韓国内資産の差し押さえを地裁が承認したことに関し、韓国政府に対し1965年の韓日請求権・経済協力協定に基づく2国間協議を申し入れた。日本メディアが伝えた。

 李氏はこの日午後、硬い表情で外務省を訪れ、記者団の問いに応じることなく面会場所へ向かった。  

 日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者は韓国大法院(最高裁)が昨年10月に被害者への賠償を新日鉄住金に命じる判決を下したことを受け、交渉に応じない新日鉄住金の韓国内の資産差し押さえを裁判所に申請。大邱地裁浦項支部がこのほど、新日鉄住金の韓国内資産の差し押さえを認める決定を下した。

 李氏は約10分、秋葉氏と面会した後、記者団に対し「韓日関係が難しい状況だが、このような時こそ韓日両国が互いにうまく管理していかなければならない」と話した。

 1965年に締結された韓日請求権協定の第3条1項は「協定の解釈および実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする」と定めている。

 これまで同項に基づき、外交協議が行われたことはない。韓国政府は2011年、旧日本軍の慰安婦問題解決のため、同項による外交協議を日本に要請したが、日本は慰安婦問題は請求権協定に基づき最終的に解決したとして応じなかった。

 韓国政府が日本の要請に応じる場合、議題は強制徴用被害者に対する補償が請求権協定で解決したかに限られるとみられる。

 韓国政府内では強制徴用問題の他にも両国が解決すべき課題が多く、局長級協議などさまざまな問題を取り扱う協議体を利用することが適切として、日本の要請に応じることは慎重に検討すべきだとの意見もある。外交協議が始まると、慰安婦問題など別の課題は後回しになる可能性もある。

 また、強制徴用被害者問題は両国の立場の隔たりが大きく、外交協議で解決する可能性も低い。このため、日本が国際司法裁判所(ICJ)に提訴する大義名分を立てるため、外交協議を要請しているとの見方もある。