(写真提供=SPORTS KOREA)

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数日前からソウルに来ている。知人や記者仲間たちとの雑談でよく出るのが、韓国の経済格差が広がっているということだ。所得が少ない人はさらに少なくなり、所得が多い人はさらに多くなっているというのだ。

韓国にはそもそも「自力で大富豪になれない」という“格差”が存在しているが、それとはまったく違う次元で問題が深刻化しているらしい。

韓国統計庁が8月23日に発表した「2分期家計動向調査結果」によると、所得下位20%の世帯の所得が月額132万4900万ウォン(約13万円)で、前年同期比で7.6%も減少したという。4-6月期ベースでは2003年以降、最大の減少幅らしい。所得下位20%の勤労所得は15.9%も減ってしまっているというのだ。

“最悪”の経済格差とは

一方で所得上位20%の世帯の所得は、どうだったか。

所得上位20%の世帯の所得は月額913万4900ウォン(約91万円)となり、昨年同時期に比べても10.3%増だ。「所得上位20%の世帯所得が2桁台の伸びを示したのは、2003年に統計を取り始めて以来初めて」(『朝鮮日報』)らしい。

つまりは一口で言うと、韓国では所得格差がかつてないほど拡大しているということだ。

その事実は韓国メディアもこぞって報じており、新聞を開くと「所得分配10年ぶりに最悪…低所得層の所得急減、高所得層は10%増」(『聨合ニュース』)、「両極化10年ぶりに最悪…所得主導成長の逆行」(『中央日報』)、「分配10年ぶりに最悪…所得主導成長の惨憺たる失敗」(『ソウル経済』)などと、各紙が“過去最悪”であることを強調している。

しかも所得格差だけでなく、韓国では働き口も減っているという。実際、首都ソウルの数字がその状況を顕著に表していた。

「日本がうらやましい」

8月22日にソウル市が発表したところによれば、ソウル市の7月の雇用率は59.9%で前年同月比1.1%ポイント下落。

『韓国日報』によれば、就業者が1年前に比べて11万3000人も減ったそうで、「働き口の問題が全国的に深刻だが、ソウル市が最もひどいということを見せてくれる指標」とまとめていた。

「うらやましい日本…就業者の増加幅、月100万人水準」(『文化日報』)といった記事があるかと思えば、「駐日韓国大使館、(8月)25日に釜山市庁で日本就業支援説明会」(『ニュース1』)のように、日本で就職しようとする動きが活発なほどだ。

ただ、日韓関係の「今後」について日本と韓国で大きな意識のズレがあるだけに、一筋縄ではいかないのでは…とも思ってしまう。

【注目記事】日本5%vs韓国56%という意識のズレ…なぜ韓国人は「日韓関係は今後良くなる」と考えるのか

それにしても、なぜ格差が広がり、雇用が減っているのだろうか。

多くの専門家やメディアは、格差の原因を「最低賃金の引き上げ」と指摘している。

周知の通り、韓国政府は今年に入って最低賃金を6470ウォン(約650円)から7530ウォン(約750円)と、16.4%も引き上げている。それどころか今年7月には、来年の最低賃金をさらに10.9%増の8350ウォン(約835円)に引き上げることも決めた。2020年には日本を超えるペースだ。

しかしその急激な引き上げの結果、「人件費が増えて商売にならない」という自営業者が続出して雇用が減り、格差が広がってしまったというわけだ。

新規出店数も激減

わかりやすく打撃を受けているのは、コンビニだろう。

「CU」を運営するBGFリテール、「GS25」を運営するGSリテール、「セブンイレブン」など韓国の大手コンビニ3社の上半期の営業利益はいずれも下がっている。『韓国日報』によれば、上半期の営業利益はBGFリテールが前年同期比22%減、GSリテールが同32%減、セブンイレブンも同2.4%減だったという。

韓国のコンビニ業界は“出店競争”がし烈で、釜山(プサン)では1階も2階もコンビニという珍事まで起こっていたが、コンビニの主要成長動力といえる新規店舗数も急激に減っているのだから、難しい状況だろう。


(写真=S-KOREA編集部)


「最低賃金・競争・規制の3重苦…海外に目を向けるコンビニ」(『ソウル経済』)といった記事があるように、今後は“脱韓国”の流れが加速するかもしれない。

いずれにしても、経済格差が広がってしまっている韓国。最低賃金の引き上げは現政権の公約であるため難しいところもあるだろうが、このまま改善を図れなければますます問題は深刻化してしまいそうで、心配だ。

(文=慎 武宏)