大人気のジムニージムニーシエラのベストバイは?(撮影:尾形 文繁)

20年ぶりのフルモデルチェンジで7月5日に発表・発売されて以降、大人気の状態が続いているスズキの「ジムニー」と「ジムニーシエラ」。軽自動車SUVのジムニーはすでに納車1年待ち、小型SUVジムニーシエラに至っては1年半ともそれ以上とも言われている。


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それだけ納期を要する車種だけに、もし買うならグレード選びは慎重にしたいところ。待っている時間が長いだけに「やっぱりあっちにしておけばよかった!」とならないようにするためにも、各グレード間の違いを細かくチェックしていこう。

軽自動車か、普通車か

改めて新型ジムニージムニーシエラのグレード構成と車両本体価格は次のとおりだ。

ジムニー(660ccのターボエンジンを搭載する軽自動車)
「XG」 5MT  145万8000円
     4AT  155万5200円
「XL」  5MT  158万2200円
     4AT  167万9400円
「XC」 5MT  174万4200円
     4AT  184万1400円
ジムニーシエラ(1500ccエンジンを搭載する小型乗用車)
「JL」 5MT  176万0400円
     4AT  185万7600円
「JC」 5MT  192万2400円
     4AT  201万9600円

まず、グレードを選ぶ前に選択しておきたいのが、軽自動車のジムニーにするか、普通車のジムニーシエラにするかという部分だろう。両車の大きな違いは、エンジンが660ccターボになるか、1500ccNA(自然吸気)になるかという点と、大型バンパーとオーバーフェンダーが付くことにより全長で155mm、全幅なら170mm分、ジムニーシエラのほうが大きくなるという点。実は室内空間に関してはどちらも同じ寸法で(ジムニーXGを除く)ともに乗車定員は4名となる。

グレードはジムニーには最廉価グレードとして「XG」が存在するが、それ以外のグレードに関しては「ジムニーXC」と「ジムニーシエラJC」、「ジムニーXL」と「ジムニーシエラJL」が同等のグレードとなり、前述のエンジンやオーバーフェンダー以外の装備の面での差はなく、価格差はジムニーシエラが17万8200円高となる。またすべてのグレードで5速MTと4速ATが選択でき、4速ATが9万7200円高となっている。

維持費の面を考えれば軽自動車のジムニーのほうが圧倒的に有利となるが、日常使いもするのであれば、エンジン排気量が2倍以上あるジムニーシエラの余裕は捨てがたいし、トレッドも広がっているためオンロードでの安定感もジムニーシエラに軍配が上がる。そのため、実際の使い方や維持費などのコストを鑑みて選択するのがいいだろう。

最廉価グレード「XG」はどうか

なお、前述したようにジムニーにのみ、最廉価グレードとして「XG」が用意されている。ジムニーXLよりも12万4200円安の価格設定のため、ジムニーの高い走破性をなるべく安価に手に入れたいというユーザーは検討してみてもいいだろう。

加飾や装備は簡素化されるが、ジムニーのタフな走りを支えるヒルディセントコントロールやヒルホールドコントロール、ブレーキLSDトラクションコントロールなどは標準装備され、SRSカーテンシールドエアバッグやフロントシートSRSサイドエアバッグも標準装備となる。また、プラス4万2120円で先進安全装備のスズキセーフティサポートも選択できるため、車両価格を安く見せるための釣りグレードというわけではない(ただし選択できるボディカラーに制限がある)。

上級グレードとベースグレード、どっちが買い?

グレード間の装備差についてはジムニージムニーシエラ共に共通となるので、ここからはジムニーXCとジムニーシエラJCを「上級グレード」、ジムニーXLとジムニーシエラJLを「ベースグレード」と表現して、解説を進めたい。

まず、上級グレードとベースグレードの価格差は16万2000円となる。ただし、上級グレードはプラス4万2120円で装着できる先進安全装備のスズキセーフティサポートが標準装備となっているため、実質的な価格差は11万9880円となっている。この価格差で装着されるものは、LEDヘッドランプおよびヘッドランプウォッシャー、クルーズコントロールシステム、本革巻ステアリング、LEDサイドターンランプ付ドアミラー、アルミホイールに、内装パーツに加飾が追加されるといった具合となる。また、2トーンカラー(ジムニーはブラックトップ2トーンも含む)に関しては上級グレードにしか設定がされないため注意されたい。

グレード間の価格差を考えれば妥当な装備の違いとも言えるだろうが、タフな走りが魅力のジムニーであることを考えると約12万円の価格差を払って上級グレードをチョイスしたほうがいいと一概に言いにくいところ。アグレッシブな走りを本格的に楽しむのであれば、ヘッドランプウォッシャー付LEDヘッドランプは気になるところだが、雪の付着に関して言えばベースグレードのハロゲンヘッドランプであれば、熱で溶けてしまうから問題ないだろう。

また、長距離移動時にうれしいクルーズコントロールだが、ジムニージムニーシエラのそれは追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールではなく、前走車がいてもおかまいなしに設定した速度で走るだけの昔ながらのもの。すでにアダプティブクルーズコントロール付のスズキ車もリリースされている現状を鑑みると、ちょっと物足りなさを感じてしまうところだ。

そのため、グレード的にはベースグレードを選択して必要に応じて先進安全装備を選択し、差額でオプションパーツなどを選択して個性を演出するのが楽しいかもしれない。また、過去のジムニーシリーズの傾向からいって定期的に特別仕様車が設定される可能性も高く、未確認情報ではあるが、生産ラインの増強も検討しているという話も聞かれている。

そのため、あえてそうした動きがあるまでは購入を控えて様子を見るというのも選択肢のひとつにしてもいいかもしれない。比較的手ごろな価格帯のクルマとはいえ、決して安い買い物ではないので、吟味せずに慌てて購入に走るのが最もオススメできない方法と言えるだろう。