これからの寒〜い季節、いろいろなシーンで大活躍する「使い捨てカイロ」。いまや冬の必需品ともいえる定番アイテムですが、じつは日本のメーカーが40年以上前に開発した20世紀の大発明品なのです。電気もガスも火も使わず、袋から出すだけで長時間ポッカポカ……よく考えると、これってちょっとスゴイ発明ですよね。
そこで今日は、知っているようで意外と知らない、使い捨てカイロにまつわる雑学&豆知識をまとめてご紹介しましょう。

日本が誇るあったかアイテムのロングセラー


1970年代に登場して一気に普及。いまや海外でも人気のロングセラー商品に!

冬に暖をとるカイロのルーツは、江戸時代に石を温めて懐に入れた「温石(おんじゃく)」といわれています。その後、明治時代には麻穀や炭粉を容器の中で燃やす「懐炉灰(かいろはい)」、大正〜昭和時代になるとベンジンを気化させて燃やす「ベンジンカイロ」が使われるようになりました。
そして、使い捨てカイロが登場したのは1975年のこと。アメリカ陸軍が使用していたフットウォーマーを参考に、旭化成工業(現・旭化成)が開発・商品化し、鍼灸院などで販売したのが始まりとされています。それを原型にして1978年、ロッテ電子工業(現・ロッテ健康産業)が日本純水素(現・日本パイオニクス)と共同開発し、「ホカロン」の商品名で全国販売をスタート。これが大ヒットしたことで、使い捨てカイロはまたたく間に普及し、現在はアメリカや中国など海外にも多く輸出されています。

昔懐かしいベンジンカイロ


鉄がさびる酸化反応で発熱。中身の調合レシピは各メーカーの企業秘密!

使い捨てカイロが温まるのは、鉄がさびる化学反応と同じ原理です。鉄は空気中の酸素と反応して酸化する(さびる)時に酸化熱を発生させますが、使い捨てカイロはそのメカニズムを利用しているのです。
カイロの中には鉄粉や水、活性炭、塩類、保水材などが入っており、外袋を開けるとカイロを包む布の小さな穴から空気が入り、中の鉄粉の酸化が始まって熱を発生させるという仕組みです。水や塩は酸化のスピードを速め、活性炭は空気を多く取り込んで、反応を持続させる役目を果たします。日常見かけるさび(鉄棒や釘などのさび)は、ゆっくりと反応が進むため触っても熱を感じませんが、使い捨てカイロは布の中で一気に酸化させるため、温かいと感じるのです。


低温やけどにならないために、普段から正しい使い方を心がけて!

手軽で便利な使い捨てカイロですが、使用中に注意したいのが「低温やけど」。低温やけどは、体温よりやや高い温度(40〜60℃)の熱源に長時間接触することで、皮膚に紅班や水泡などの症状を起こす温熱熱傷です。自覚症状を伴わずに重症化する恐れもありますので、普段から正しい使い方を心がけてくださいね。
【低温やけどを防ぐには】
◆カイロを直接肌に当てて使わない。下着などの上から付けるか、ハンカチなどに包んで使用する。
◆同じ場所に長時間使わない。下着などに「貼るタイプ」も時々位置をずらし、熱すぎると感じたらすぐに外す。
◆商品のタイプに合った使用法や用途を必ず守る。たとえば、靴の中に敷いて使う「靴用タイプ」は、空気の吸収力を通常タイプより高めてあるため、体に付けて使用すると温度が上がり過ぎる場合もあり危険。
◆異常に気づきにくい就寝中は使わない。布団の中で使うと、カイロに熱がこもって高温になる場合もあり危険。

必ず下着などの上からつけましょう


カイロを振ったりもんだりしても、早く温まるわけではない!

各メーカーでは、通気量と中身のブレンド具合、粒の細かさや種類などを独自に工夫して、発熱温度や発熱時間を微妙に調整しているとか。その調合レシピは企業秘密とのことです。
── ちなみに、カイロを振ったりもんだりしても、早く温まるわけではないのをご存じでしたか?
ひと昔前の商品は中の鉄粉が片寄ってしまうことがあり、振ったりもんだりして中身の配分が偏らないようならしていましたが、最近は片寄りにくく改良されているので、その必要はないそうです。
周囲の人が振ったりもんだりしていたら、ぜひ教えてあげてくださいね。