R・シルバのゴールで先制した浦和。前半のうちに追い付かれたが、アウェーの地で価値ある勝点1を手にした。(C)Getty Images

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 今朝、ACLの決勝第1戦が行なわれ、浦和はアウェーでアル・ヒラルと1-1で引き分けたね。青く染まった敵地で、多くのチャンスを作られながら手にした"勝点1"だ。第2戦はホームの埼玉スタジアムで戦えるわけだし、アウェーゴールを奪った点も含めて非常に価値のあるドローと言える。
 
 浦和の戦い方は準決勝の上海上港戦と同じだった。守備に力を割き、少ないチャンスを決め切るというものだ。
 
 アル・ヒラルはビッグネームはいないけど、フッキやオスカールを擁した上海上港より手強い相手だった。何度も決定機を作られたし、西川のファインセーブがなければ負けてもおかしくなかったよ。でも、レッズはしぶとく戦った。堀体制になってから今大会で見せてきた真骨頂と言えるスタイルだったね。
 
 レッズのサッカーはいわば弱者のやり方だ。横綱相撲はできなくても、耐えて土俵際でうっちゃりを狙う。リーグ戦では打って変わってポゼッションをする試合が多いから、なかなか結果を出せずにいるけど、ACLでは割り切った戦いで上手くゲームを運べている。
 
 このスタイルは日本サッカーにとって、ひとつのヒントになる。現に先日、欧州遠征を行なった日本代表はブラジルやベルギーに守備的な戦い方で挑んだ。結果は2連敗だったが、相手を圧倒する力がない今の日本は、このやり方を突き詰めていくしかないよ。
 
 話が逸れたけど、浦和は先制点も上手く奪ったね。R・シルバがスピードを活かして左サイドを突破し、一度はクロスをクリアされるも粘ってルーズボールを押し込んだ。ただ、そのR・シルバは後半途中に足を痛めたのか負傷交代となってしまった。ドリブルで敵陣に切り込める唯一の存在だっただけに、第2戦に間に合うかは大きなポイントだ。
 R・シルバがアウェーゴールを奪ってくれたから、ホームでの第2戦は0-0の引き分けでも優勝を決められる。ただし、スコアレスドローでも良いと考えすぎると、重心が低くなりすぎて難しい試合になってしまうはずだ。
 
 準決勝の上海上港戦ではアウェーでの第1戦を1-1で引き分け、ホームでの第2戦は立ち上がりから仕掛けて先制に成功した。その1点を最後まで守り切ったわけだが、あの展開を再現したい。
 
 それに決勝第1戦の結果は価値あるものだったが、まだ何も成し遂げたわけではない。第2戦で結果を残さなくてはここまで勝ち進んだ意味がなくなってしまうんだ。運命の一戦へは、良い意味で第1戦を過去のものとして臨んでもらいたね。
 
 もしレッズがACLを制してクラブワールドカップに出場すれば、日本サッカーにとっては久々の明るい話題になるね。去年、クラブワールドカップで準優勝したアントラーズは開催国枠での参加だったし、日本のクラブはなかなか実力で出場切符を勝ち取ることができなかったんだ。
 
 ただ、残念なのは決勝戦が地上波で生放送されないことだ(BS日テレ、日テレジータスでは生放送、日本テレビでは録画放送)。せっかくレッズが奮闘しているのに、それを生放送しないのはもったいないよ。きっとホームでの一戦では今の日本代表よりも見応えのあるゲームを展開してくれるんじゃないかな。
 
 テレビ局の編成上の話なのでどうにもならないとは思う。ただ、注目度が増しているだけに、世間のサッカー熱を再び高めるキッカケとして、多くの人が気軽に観戦できる環境が整えばと、残念に思うよ。