8日、東京・千代田区の国立情報学研究所で開かれた「ユビキタス技術による会議支援システム」発表記者会見で、「人のつながりを視覚化することでコミュニティー形成を支援する」と説明する産業技術総合研究所の西村拓一氏。(撮影:佐谷恭)

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国立情報学研究所(NII、坂内正夫所長)は8日、産業技術総合研究所(吉川弘之理事長)、大日本印刷<7912>と共同で「ユビキタス技術による会議支援システム」を開発したと発表した。NIIの武田英明教授は、同日東京都千代田区の同研究所で開いた記者会見で、同システムについて「限られた時間に人が集まる"イベント空間"で出会いとつながりを深めることができる」と話した。

 会議、展示会やパーティーなどイベント会場での"出会い"を、ユビキタス技術とウェブ技術の融合で促進する。携帯電話やICカードなど気軽で安価に利用できる端末を使えること、ウェブマイニング技術でイベント会場に集まる人とモノとの関係をウェブ情報から推定することなどが特徴。

 展示や発表、スケジュールなどイベント会場のあらゆる事象に情報を付加でき、必要な情報を得やすくなるのに加えて、コメントなどを通じて興味分野の近い他の参加者との交流のチャンスが広がる。また、参加者が自分の知り合いを登録できるほか、ウェブ上にある情報からコンピューターがつながりを推定して表示するため、参加者同士の交流の促進が期待される。

 同システムにはActionLog(アクションログ)という機能があり、イベント会場での来場者の行動履歴を自動的に記録する。来場者はアクションログにアクセスすることで、展示や発表についてのコメントをまとめて閲覧したり、他の来場者との交流を記録したりできる。

 展示や発表へのコメントや写真などの情報追加は、携帯電話などでプログラムや展示パネル上のクリップサイン(QRコード、ICタグなど)を読み取り、記録対象を特定して行う。

 また、360度撮影できるカメラをICカードによる個人特定技術と組み合わせ、同じテーブルに居合わせたグループをデータと写真で記録する。時間ごとに撮った写真を蓄積し、テーブルを通じて生まれた人のつながりを積み重なるコミュニティとして視覚化する。同じ個人をまとめて表示し、ある人を中心とするコミュニティーを目で見ることで、コミュニティー形成を支援するという。

 同システムは、東京都港区の高輪プリンスホテルで12日から14日まで開かれる「第7回ユビキタスコンピューティングに関する国際会議」で試験運用されることが決まっている。【了】

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