混合ダブルス予選1回戦で米元3兄妹がコートに集結【写真:平野貴也】

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ジャパンOP混合複1回戦で米元小春が兄&姉ペアを撃破、しかも姉は双子「奇跡だと」

 バドミントンの国際大会「ダイハツヨネックスジャパンオープン2017」が19日に開幕し、混合ダブルス予選1回戦で珍しい顔合わせが実現した。女子ダブルス世界8位で日本A代表の米元小春(北都銀行)が、米元優樹(宇部興産)、米元陽花(ACT SAIKYO)組と対戦したのだ。3選手は、1987年生まれの優樹が長男、90年生まれの陽花が長女、小春が次女の3人兄妹。しかも、陽花と小春は、双子だ。

 公式戦の混合ダブルスで3人が同じコートに立ったのは、初めてだという。米元優樹は「お正月には、よくやるんですけど。(妹が双子で似ているので)試合中に、あれ、今、組んでいるのは小春じゃないよな? と思いました」と笑った後、「バドミントンを始めてから、全日本総合選手権に出ることを最初の目標にして来て、次に3人で全日本に出ることが目標で、それから3人でこの大会に出ることが目標だったので、感慨深いものがありました。カードが決まったときは、ひっくり返りました。神様が与えてくれたチャンスだと思って試合をできました」と話した。

 対戦を望んでいたのが兄姉ペアで、避けたがっていたのが妹だった。国内の大会でともにエントリーすることはあっても、日本代表選手と戦うためには上位まで勝ち上がらなければならず、対戦は容易ではない。今大会は予備登録だったため、米元陽花も「リザーブで出場できないかもしれないと諦めていたのに出られて、まさかジャパンオープンで対戦できるなんて……。奇跡だと思いました」と対戦実現に驚きを隠さなかった。

 兄妹対決であり、双子対決でもある試合は、ともに日本代表選手である金子祐樹(日本ユニシス)、米元小春組が2-1(17-21、21-14、21-18)で接戦をものにした。

勝利の妹・小春「意地でも勝ってやるという気持ちとやりにくさがあった」

 ネット際からマッチポイントを奪った米元小春は「今までずっと当たりそうで当たらなかったのでラッキーと思っていましたけど、陽花に関しては高校生の頃から負けたことがなかったので、意地でも勝ってやるという気持ちと(同時に兄と姉が相手で)やりにくさがありました。現役のうちに一度は対戦しておきたかった気持ちもあったし、2人に長くプレーしてほしいという意味でも互いに刺激になっていると思うので、何としても(相手の目標を達成させずに)勝たなければいけないと思いました」と笑顔で試合を振り返った。

 ただ、金子と米元小春はそれぞれ普段は男子ダブルス、女子ダブルスの主戦種目としているのに対し、米元優樹、陽花は混合ダブルスが主戦種目。ファイナルゲームは、11-2の折り返しだったが、金子が「ここまで競るとは思っていなかった部分もあったけど(米元は)身内同士でやりにくい部分もあるだろうし、ダブルスのペアとしては相手の方が長く組んでいるので形がしっかりしている。うまく形にはめられて連続ポイントを取られた」と話したとおり、苦しめられた。終盤は19-18の1点差まで追い上げられ、どうにか振り切ったゲームだった。

 兄妹ペアの猛追は、見応えがあった。原動力は、妹に負けたくない思いと、3兄妹全員で憧れていた大会のコートに立てた感慨だ。米元陽花は「すごく楽しかった。ファイナルは、開き直ってから良くなったんですけど(折り返しの)11点までが悪過ぎました。あのプレーをもっと早く出したかった。でも、せっかくの舞台なので1分でも1秒でも長く一緒にコートに立てるように、自分たちのプレーをしようと思いました」と話し、嬉しさと悔しさの入り混じった涙を流した。

 ダイハツヨネックスジャパンオープンは、BWF(国際バドミントン連盟)最高峰で年間12大会が行われるスーパーシリーズの第8戦。世界トップクラスの選手が集う国内唯一の大会で、国内のバドミントン競技者やファンが最も注目する舞台だ。3兄妹で一緒にプレーする目標を達成した長男の優樹は「あとは、小春に託して応援するだけ。兄妹なので、一生懸命に応援できます」と勝ち上がった『米元家代表』にエールを送った。