ASUSは巻き返せるか? 約2万円で電池持ちが良い「ZenFone 3 Max」を注目する理由とは

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ASUSTeK Computer(以下、ASUS)の新たなSIMフリースマートフォン(スマホ)「ZenFone 3 Max(型番:ZC520TL)」が来年2017年1月中旬以降に日本で発売される。
価格は19,800円(税別)だ。

日本のSIMフリースマホ市場では人気のあるASUSだが、今年の後半は、やや失速気味だった。
理由は、夏以降での新製品の投入が遅かったことや、ライバルのHuawei Technologies(以下、ファーウェイ)の新製品が好調で押されているといったことが考えられる。

特に満を持して10月から投入した新世代の「ZenFone 3」シリーズが、主力の「ZenFone 3(型番:ZE520KL)」を含めて、これまでの同社の「性能がそれなりに良い割に安い」という高いコストパフォーマンスを感じられないという評価が影響しているようだ。

ASUSでは、これを覆すように、
より低価格な3万円程度のZenFone 3世代「ZenFone 3 Laser(型番:ZC551KL)」を投入。
に続いて、
さらに安価なZenFone 3 Maxを投入し、巻き返しを図ろうとしている。

ZenFone 3 Maxは、大容量バッテリーを搭載して電池持ちが良い「Max」シリーズの最新モデルだ。
前機種「ZenFone Max(型番:ZC550KL)」は電池容量が5000mAhだったが、ZenFone 3 Maxでは4100mAhと減っている。

これには理由がある。
ZenFone Maxの画面サイズは5.5インチだったのに対し、ZenFone 3 Maは5.2インチと小型化したのだ。
当然、省電力性能も高くなったため、電池容量を減らしてもZenFone Maxと同じように連続待受が約1ヶ月(約720時間)と長くなっているのだ。

また外観もZenFone 3世代に合わせてデザインが刷新され、2.5Dラウンドガラスとメタルボディーによって質感の高いものとなった。さらにZenFone Maxで対応していた、ほかのスマホなどを充電できるリバースチャージ機能にも対応している。

ただし、価格を低く抑えるためにチップセットはMediaTek製に変更されたほか、内蔵メモリー(RAM)や内蔵ストレージ、カメラの画素数などは据え置かれている。
同じ低価格ながらRAMが4GBと強化されたZenFone 3 Laserとはそういった点で違いが見られ、ターゲットにあわせたモデル戦略も明確だ。

今年のZenFone 3シリーズのラインナップを見ると、
昨年は5.5インチの製品が多くてどれも似たような製品だという印象が強かったASUSだが、今年のZenFone 3世代は、各モデルにメリハリを付けて、モデルごとの個性を主張してきた印象を受ける。

例えば、現時点まででのZenFone 3世代は、
5.5インチが
・ZenFone 3 Laser
・上位モデル「ZenFone 3 Deluxe(型番:ZS550KL)」
の2機種だ。

5.2インチが、
・ZenFone 3
・ZenFone 3 Max
の2機種。

さらに
・5.7インチのハイスペックモデル「ZenFone 3 Deluxe(型番:ZS570KL)」
・6.8インチの大画面モデル「ZenFone 3 Ultra(型番:ZU680KL)」
と、サイズと価格帯をかなりばらけさせている。

税別価格で言えば、
・19,800円のZenFone 3 Max
・27,800円のZenFone 3 Laser
・39,800万円のZenFone 3
・55,800円と89,800円のZenFone 3 Deluxe
と5.2インチ、5.5インチ、5.2インチ、5.5インチと交互になっている。

他社は税込で1万円台の製品を販売しているが、この価格帯には、
・旧機種の「ZenFone 2 Laser(型番:ZE500KL)」(税別17,800円)
で対抗すると考えれば、ほぼ全価格帯のラインナップが揃ったと言って良いだろう。

そういった中で今回発売が発表されたZenFone 3 Maxは、最も販売数が多くなる2万円前後のエントリー向け製品となる。
そこに消費者へのアピール力のある電池持ちが良いZenFone 3 Maxを持ってきたのは、かなり市場調査を分析してきたように見受けられる。