身体に触れていなくても「痴漢」に?(画像はイメージ)

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触ってないのに「痴漢」にされてしまう――。バラエティー番組での特集を受け、インターネット上で男性ユーザーが戦々恐々としている。

番組で「女性の髪の毛の匂いを嗅ぐ」行為が一例として紹介されたことから、「もう満員電車で男は息もするなって事」「何かイヤな世の中になったなぁ」との声が相次いでいるのだ。

田中みな実も被害に

話題になっているのは、2016年5月7日放送の「ジョブチューン 〜アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」(TBS系)の一コマだ。この日は元警察関係者らがスタジオに集結し、業界の秘密をぶっちゃけた。その中で、元鉄道警察隊長の澤登真珠枝氏は「新たな痴漢」として「体に触らない痴漢」の手口を次のように紹介した。

「混雑に紛れて好みの女性のそばに行って、体には触らず、髪の毛の匂いを嗅いだり、ちょっとスカートを触ったり、それで満足を得ている痴漢のことです」

すると司会役のフリーアナウンサー、田中みな実さんは「わかります!」と即座に反応。過去に頭の匂いを嗅がれたり、耳元で何度も息を吹きかけられたりしたことがあるといい、「怖いです...」と顔をしかめた。

澤登氏によると、こうした痴漢については警察庁と協議を重ね、あらゆる法令を駆使して検挙しているという。2015年も相当数の検挙をしたそうだ。

男性出演者からは「本当に鼻息荒い人とかいるかもしれない」「駆け込んで入ってきて止まったらスースーって(なる)」という意見も上がったが、澤登氏は「(痴漢は)ホームのところから物色していますから」と指摘。これにはスタジオ一同「なるほど」「もう分かるんですね」と納得した様子だった。

弁護士も「痴漢となる可能性があります」

しかし、納得しきれていない男性ネットユーザーたちもいる。放送後、ツイッターやネット掲示板には

「もう満員電車で男は息もするなって事」
「何かイヤな世の中になったなぁ」
「誤認逮捕が増えてそうで恐い」

との声がいくつも投稿された。

先の澤登氏の説明によれば、単に鼻息が荒いだけだったり、息切れしているだけだったりするだけで検挙されることはなさそうだが、疑われる可能性がある以上、気が気じゃないだろう。

ちなみに「匂いを嗅ぐ行為が痴漢になり得る」という話は、15年夏にもネット上で物議を醸した。警備サービス最大手「セコム」の公式ツイッターアカウントが「痴漢の新種の行為」として「カバンを女性の体に押し付ける行為」とともに紹介したためだ。

匂いを嗅ぐことを含むこの「新種の行為」について、当時、J-CASTニュースが取材したところ、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士は「痴漢となる可能性があります」と答えた。

東京都迷惑防止条例では、(1)人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、(2)公共の場所又は公共の乗物において、(3)卑わいな言動をする、ことが禁止されている。

「卑わいな言動」は、いやらしくみだらな言語、人に性的しゅう恥心、嫌悪感を覚えさせ、又は不安を覚えさせるものをいい、これが、かなり広く認められる余地があるためだという。

ただし「女性が不快と思えばただちに痴漢になる」というわけではなく、「女性が実際に『恥ずかしい』と感じたかではなく、一般人であれば、羞恥心や嫌悪感を抱くような行動をしたか否か」を客観的にみて、迷惑防止条例違反となるかどうかを判断するとのことだった。