(写真:日刊スポーツ/AFLO)
佐々木則夫監督(57歳)率いる“なでしこ”は、4日の中国戦もミス続きで敗戦。4大会連続の五輪は夢と消えた。その要因はいくつも挙げられるが、「顕著なのは、長年チームを固定したことによる劣化とチーム内にある温度差」と、サッカーライターは指摘する。

「2011年独W杯優勝時からメンバーが変わらないと言われているが、じつは2008年北京五輪から主力はほとんど変わっていない。独W杯以降、各国がレベルを上げるなか、佐々木監督は新たな戦術を編み出せなかった。加えて新戦力をほとんど試すこともせず、旧態依然の顔ぶれで戦いつづける無策ぶり」

ちなみにライバルの米国は、2012年ロンドン五輪優勝後に新監督を迎え、2015年カナダW杯でも世界一になるなど、チームの新陳代謝が機能している。一方、“長期政権”の日本は、若手を迎え入れる環境が悪すぎた。

一方、選手と佐々木監督との温度差も際立っていた。佐々木監督の指導といえばスパルタ式で有名。独W杯当時は、試合の合間の練習がきつすぎて、澤主将がペースダウンを進言したほど。だが、年々厳しさと緊張感は失われていった。裏腹に、佐々木監督の知名度、評価は格段に上昇。「世界一の監督」の称号を得た後は、講演の依頼が殺到した。

「1回の最低ラインが100万円と高額だったが、依頼は途切れなかった。かつての佐々木監督は、なでしこリーグ開催時は、どこかの試合会場で必ず選手をチェックしていたが、2015年からほとんど姿が見えなくなった。クラブ関係者は、『あ〜あ、今日も講演か』とボヤくし、当然、話は代表選手にも伝わる。『どうせノリさんは……』とシラけていた」(担当記者)

今大会で契約が切れる佐々木監督だけに、不甲斐ない成績にさぞ頭を抱えているかと思いきやそうでもない。

「五輪を花道にとの目論見は外れたが、次の仕事に影響はない。以前の所属先である大宮(J1・当時はNTT関東)の強化、育成をまかされるGM職が内定しているからだ」(専門誌記者)

現在は、1回100万円以上だった講演料も50万円程度に落ち着いているというが、2015年から始めた、母と娘のサッカー教室が大盛況。さらに、独W杯時は600万円程度といわれていた年俸は、倍以上になった。これに講演、サッカー教室のギャラを加えれば、年収は4000万円程度に上るという。

一方、なでしこイレブンの平均年俸は、300万〜400万円。なかには、いまだにアルバイトをしながらサッカーを続ける選手もいるなど、“待遇の格差”は著しい。

予選敗退で、暗黒時代に逆戻りしそうな「なでしこ」だが、指揮官の未来は明るいのである。

(週刊FLASH 2016年3月22日号)