ハイライトシーンだったのだ。川崎対湘南といい、なでしこの五輪予選対豪州戦といい。サッカーは運が占める割合が3割と言われる。誤審はつきもの。あっては困るものだが、無くならないものでもある。人間が判定に携わる限り。サッカーファンに問われているのは、それとの向き合う方法だ。
 
 川崎Fの風間監督は少なくとも試合後の会見で、その一件には触れなかった。堪えたというか、我慢したというか、大人の態度を見せた。だが同様にメディアまで沈黙するのは好ましくない。特に地元メディアは、選手、監督の代弁者にならなければ、ファンの留飲を下げることはできない。監督、選手に言わせてはダメ。
 
 主審のレベルが低ければ、誤審のオンパレードになるのがサッカー。それをメディアが放置すれば、試合のレベルも上がらない。すべてが同じ穴のムジナになる。サッカーを構成する各要素は連鎖する。お互いがお互いを引っ張り合う関係にある。誤審はもっとオープンに、くだけた、ざっくばらんな話にしていく必要がある。レベルを上げるためには。
 
 そうした視点に立った時、疑問を感じるのは放送局の姿勢だ。誤審と言えば「好プレイ珍プレイ」に欠かせないモノになるが、サッカーにこの手のコーナーはない。見かけるのは外国ネタばかり。Jリーグネタはない。発足当時から一貫して。時のチェアマンが反対したからだと聞くが、それが理由で自粛しているのだとすればメディアとして問題、弱腰だ。日本のサッカー中継は、外国に比べ自由度の低さを感じる。嘘臭いムード、綺麗事に支配されている。誤審を楽しむ余裕が無いと、審判のレベルは上がらないと思う。