DMM亀山敬司×やまもといちろうスペシャルトーク第二弾として行われた就活生向けイベント

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 DMM亀山敬司×やまもといちろうスペシャルトークの第二弾。今回はDMM.comの会社説明会で行われた対談を通して、最新の就職活動のあり方や企業の採用ポイント、DMM.comの今期の動きやグローバル戦略などを幅広く解説。就職活動中の学生の皆様は特に必見です。

不条理が嫌なら力を持つしかない

やまもといちろう(以下、やま) これから社会人になろうという学生の方々に、もう少しでいいので夢のある楽しい話、何かありますか?

亀山敬司(以下、亀) 学生は自立してないから自由じゃないのよ。昔、ウチの息子がかみさんに小遣いを止められて、「横暴だ、ひどい」と俺に訴えて来たことがあるんだけど、「食わせてもらってる今はどんな不条理にも従うしかない」と言ったことがあって。結局学生は親が小遣い止めるっていったら「ハイ」って言うしかないわけよ。だからそういった意味ではこれからは自由だよ。自活した社会人は楽しいよ。

やま 少なくとも親からは不条理は言われない。

 うん。でも、社会にも不条理はいっぱいあるから。さっき言ったように、自分で生きる力を手に入れないと、不条理な命令聞かなきゃいけないし、不条理な相手に頭下げないといけない。だから不条理なことが嫌なら力を持つしかない。「この仕事は俺じゃなきゃできない」ってね。そういう対等な力を持ったうえで、どう雇われるかを考えればいい。エンジニアでもクリエーターでも、プロでやってくなら、相手に稼がせてから稼がないと。必要とされるようにならないと対等にはならないよね。

やま せっかく身に付けたスキルでも賞味期限ってあるじゃないですか。エンジニアで言えば、自分のやってるプログラミング言語以外が流行り出すとできないとか。

 プログラム言語とかは詳しくないけど、会社がやれることは流行りの業種を見つけて学ぶチャンスを与えるだけ。ビデオレンタル店の店員にITを学ばしたり、AVプロデューサーにソーシャルゲームの作り方を教えたり。トレンドが変わっても社内に新しい場所があれば逃げ道にはなるからね。会社がやるべきことは社員に活躍できる場を用意して、他社よりちょっとでも稼ぎ易くしてあげること。でも結局のところ、新しいスキルを身に付けるのは自分でやらないとね。

オブラートに包まれたまま搾取される仕組み

やま DMMの仕事は楽しいですか? 例えばDMMの門をたたいて入社が決まって10年間、自分の若い人生を預けるとするじゃないですか。そのときに、ああ、DMMにいて良かったなって思えることはなんでしょう?

 どう思うかは保証できないけど、いろいろやりたい人は楽しめるんじゃないかと思うよ。新しい知識も変化もあるし、営業でもシステムでもやる気があればチャンスはある。あと、俺みたいな大人が世の中のズルい仕組みを教えてやれる。

やま まあ対談しておいて私が言うのもなんですが、亀山会長はその点、本当にズルそうですよね。ただでさえ日本社会が閉塞感あって真っ暗な感じになり、世の中本当に大変なことになってますから。生き残っていくだけで大変です。

 でも知らないと、オブラートに包まれたまま搾取されたりするし、あとで「こんなはずじゃなかった」っていうのは情けないよね。いろんなことを知った上で器用な生き方をするか、そんなの無視して不器用な生き方をするのかを決める方がカッコいい。

やま 生き方については、個人個人がいろいろ考えなきゃいけないですね。

 ウチは手取り足取りそつなく教えるっていうより、聞きたかったら聞きにおいでって環境かな。社員も若いのが多いし風通しも悪くないと思うよ。俺が生きてる間は、聞きたいことには直接答えられるし、セクハラされたら直接メール出せば助けにも行くよ。更にいえばもっと美味しいのが、あと10年か20年位で俺が死ぬってことかな?

やま 死んじゃうんですか?(笑)

 死なないまでもいい加減辞めるよね。今入った若い人たちがその頃ちょうど40代でしょ。出世しやすいよ〜。俺が辞めるときには今の幹部連中は引き連れて辞めるから。

やま ああ、なるほど、上がつかえてるのを全て引き連れて辞められると。

 俺を支えて力が発揮できる幹部が、社長になって力が出せるとはならないからね。ただ、彼らにも給料は払ってやってほしいんだけどね(笑)

やま なんか古代エジプトみたいですね(笑)

脇役に回るか、主役を狙うか

 雇用は守るとしても、経営の主体を次の世代に譲らなきゃと思ってるんで、うまくやれば、その頃は社長になれるかもよ。

やま その話今の経営幹部の方が聞いたら「そうなの?」ってなりますよ。

 そうだね。でもちゃんと面倒見るとは言ってるからさ…。だから、本社と別に年寄り向けに別会社を用意して。

やま 老人用DMM?

 そうそう。「DMMドット老人」(笑)。その中で気心の知れた奴らと老人ホームシステムとかを考える事業部をつくるよ。それで本体のほうは若い連中でやれって感じがいいんじゃない? ジジイは掃除しないと会社がもたないのよ。

やま 新卒の皆さんがDMMの門を叩こうというときに、昔よりなかなか採用のハードルが高そうだし、大変かなっていうのがあると思うんですけど。

 まあ、そうだね、多分昔よりは求人規模が多いし倍率も高くなった。でも、エロをやってるからそんなに人気ないんじゃないかな? サイバーエージェントの人気にあやかりたいけどね。向こうがディズニーランドなら、こっちはとしまえんってとこかな?

やま ずいぶん差がありますね(笑)

 うん、業績はあんまり変わらないとしても、就活人気はぜんぜん違うんじゃないかな? だから逆にいうとその分有利だと思うよ。同じ能力のダンサーがいたとして、ディズニーランドだとミッキーの脇役しかなれなくても、としまえんならアンパンマンになって主役はれるよ。

やま 会長、これ文字起こしされてサイトに掲載されるみたいですが、大丈夫なんでしょうか…。

(亀山敬司×やまもといちろうが語る“働き方指南”(5)へ続く)

プロフィール

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。DMMニュースでも連載「やまもといちろうのとっておき時事放談」を執筆中。

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プロフィール

DMMグループ会長

亀山敬司

石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT業界の大物まで登り詰めるも、めったに人前に姿を現すことがなく、その正体は謎につつまれている。