刎頸の交わり昭和27年(1952年)、幸一にとって忘れられない出来事があった。彼の人生にとってこれ以上ない財産となった、茶道裏千家の若宗匠千宗興(後に宗室を襲名し、現在は玄室)との出会いである。それはこの年の秋、千が約2年間の渡米とハワイ大学での修学を終え、帰国して間もなくのことであった。仲介の労を執ってくれたのは昭和産業の松本という人だ。「塚本幸一という男が、どうしても千さんに会いたいと言ってる