採用スケジュールが変わった新卒採用、人材不足が慢性化しつつある中途採用、非正規雇用のアルバイト・パート、人材派遣でも採用できない状況が続いている。そうした中で、企業の人材採用を支援する人材会社の役割がますます高まっている。主要人材会社100社の経営者・事業責任者を対象に実施した「2015年の人材需要と採用の課題」アンケート調査結果の中から、2015年の人材業界の展望と自社の事業・サービス展開に関するコメントを紹介する。

マンパワーグループ 池田匡弥 取締役代表執行役社長
人材不足が企業経営の大きな課題となっている今、人材業界に求められているのは「経営課題」としての人材に関するソリューションを提供することだ。当社の採用代行業務は、多くの企業が課題としている「採用人員の母集団形成」に有効な戦略と運営体制・専任担当者を揃えている。

アポプラスステーション 石山知良 執行役員事業部長
需給バランスを考えた際に、医療・介護を支える現場の処遇改善と、それを支える人材の育成・排出が急務であると考えている。「地域医療」「医療・介護連携」「チーム医療」の環境において人材需要は引き続き衰えることはなく、その中で、この業界における人材サービス会社の新陳代謝も激しくなっている。この動きも2015年以降、更に激化していくと考えている。

アデコ 板倉啓一郎 人財紹介事業本部長
2014年の活発な人財需要が落ち着き、人財サービス企業にはそれぞれの特徴や付加価値がより一層求められるようになると考えている。当社の人財紹介事業本部では、職種軸をベースとした組織再編を行い、同時に360度式コンサルティングを基本とすることでコンサルタント一人ひとりの専門性を高め、求職者と企業の双方により付加価値の高いサービスを提供していく。

経営者JP 井上和幸 代表取締役社長・CEO
創業5周年を迎える当社は、4事業の連関性を更に高め、体制拡充を引き続き推し進めることで、経営者の経営体制・事業体制強化支援、経営体制・事業体制の課題に対するアドバイスと、解決策としての幹部人材紹介、幹部育成を更に高度なものとし各社にしっかりと提供していきたい。

ディップ 岩田和久 取締役 COO 兼 メディア事業本部長
集客に一層注力すると共に集まったユーザーの満足度を高めるべく求人数、品揃え、発見性、正確性など常にユーザーファーストで有りたい。当社のサイトに集まる求職者は正規を希望する比率も、アルバイトサイトで57%、派遣サイトで68%と非常に多く、新たに加えたバイトル社員、はたらこindexの2ブランドを用い正規雇用希望者の就業支援、企業の採用支援を強化したい。

ブラックピジョン ホック・エムダド 代表取締役社長
中間管理職から管理職(CEO、CMO、取締役等)の紹介を中心に行っているため、マーケットでの採用の動きは平年並みになるかと思っている。企業上層部の動きが短期間のうちに活発化または沈静化するとは考えにくいからだ。当社は人材紹介業界では非常にニッチなポジションに立っており、その特性を活かしサービスを必要とされる大切なクライアント企業のために更なるサービスの向上に努めていく。

VRPパートナーズ 大谷幸宏 代表取締役
求人過多の状態は少なくとも上半期は続くと予想する。業界としても求人過多になりつつあり、多くのエージェントは独占案件や、一部のエージェントしか知らない非公開求人に対する力入れの傾向がより一層強まると予測。当社はコンサルタントの増員を引き続き行い、独自のノウハウとネットワークを活かして書類選考からの内定率30%以上を目標に、ベストマッチングな人材推薦に努める。

レックスアドバイザーズ 岡村康男 代表取締役
人材業界全体の業績は右肩上がりになる反面、最近の人材獲得コストの高騰は、求人企業の採用コストを引き上げる要因となり得るだろう。当社は求人需要に応えられる人材コンサルタントの補充・育成を行いながら、無理に守備範囲を広げすぎず、会計士、税理士、経理財務、管理部門などの得意分野に集中し、顧客の期待に応えられるよう、品質の向上に努めていく。

絆コーポレーション 小川潤也 代表取締役
スペシャリトが活躍できる良質求人をクライアントと共に創りだし、事業繁栄、地域活性化に貢献していく。また、これからの時代のテーマとして「豊かに幸せに暮らす」とはどんなことなのか、人材サービスを通じて提案していきたいと考えている。

アンテロープキャリアコンサルティング 小倉基弘 代表取締役
SNSを含んだインターネットサービス、新規参入、外資参入等で競争はますます激しくなる。各社の独自性をどれだけ訴求できるかが重要になる。一方、このサービスを利用する側にとってはサービス水準が高度化多様化してくるため、業界全体のプレゼンスは上がると思われる。当社も業界特化型エージェントとしてサービス水準を上げ、ポリシー面を強化していくことが課題である。

リス 木村亮郎 代表取締役
求人会社、求職者共にスピードが要求される年だと思う。当社としては、自社開発の求人求職サイト「しごとナビ」にスピード重視の「エージェントNEO」を折り込み、広告・紹介・派遣の全ての企業ニーズに対応していくとともに、求職者により多くの就業機会を提供していく。

パソナ パソナキャリアカンパニー
久保昭仁 常務執行役員人材紹介事業部門長
中高年対象の人材サービスのラインナップを充実させたい。女性の転職支援サービスに注力予定(女性活躍推進の後押し)。

アイム・ファクトリー 久利可奈恵 代表取締役
ITエンジニアの採用は積極的に行われるが募集要項と求職者のニーズ、年齢層のずれが埋まらず各社採用には苦戦すると思われる。当社もブランディングやWEBを強化しITエンジニア特化の人材サービス会社として認知度を上げ、企業と二人三脚で幅広いサービス提供を行っていきたいと考えている。

プロフェッショナルバンク 兒玉彰 代表取締役社長
フルサーチサービス(転職活動をまったくしていないトップタレント層を対象としたハンティングサービス)への問い合わせ増加傾向はますます強まる。ITエンジニア等、トップタレントを海外に求める傾向も加速する。

ヒューマネージ 齋藤亮三 代表取締役社長
当社サービスの特長は「国際規格(ISO20000、ISO27001)に準拠したサービスとセキュリティ」「多様な採用を実現する豊富なサービスラインナップ」「シェア第1位だからこそ可能な、データに基づく科学的な指標」。この強みを活かし、人事・採用担当のパートナーとして、不透明かつ難易度の高い採用活動を併走する。また、これからの採用・人材戦略の課題を解決する独自のサービス創出に、引き続き取り組む。

KANAEアソシエイツ 阪部哲也 代表取締役
2015年は求人が増えたが優秀な人材がいないという傾向には変わりがない。当社は金融スペシャリスト、事業会社エグゼクティブに特化したサーチ型で、有能な人材をピンポイントでスカウトする技術、的確さ、スピードに競争優位性がある。ここ1年で質の高いエクスクルーシブの案件が急増しているため、2015年前半から有能なコンサルタントの自社採用も強化する。金融人材を事業会社に橋渡しするサービスの一貫としてファンド投資先のCXO人材の紹介サービスに加えて、事業承継に経営課題がある事業会社への経営幹部人材なども強化する。

東西 佐脇功一 代表取締役社長
クライアント企業および登録スタッフとの長期的なお付き合いを得意とする当社にとっては追い風となることもあるだろうが、企業の人材需要に応えるにも需要があまりにも多く、供給が間に合っていない状況は続くだろう。また、紹介人材のキャリアアップ、キャリアチェンジなどの支援など、エージェントとしての教育体制、対応力などの向上が求められる。

ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン
ジョナサン・サンプソン リージョナル・ディレクター
2015年も基本的に人材業界にとっては好調が続くと考えられるが、いくつかの不安要素も残っている。しかし、求職者側は自信を深めており、転職に前向きな姿勢は今後も続くだろう。こうした傾向に企業各社の事業成長が加わり、採用企業側と求職者側の両方で、当社に対するニーズは大幅に高まるものと考える。ヘイズとしては今後も、極めて包括的かつプロフェッショナルな手法を用いて採用企業側、求職者側の両方のニーズをしっかりと把握し、短期的にも中・長期的にも付加価値の高いチャンスやリソースを提供していきたいと考える。

ワークス・ジャパン 清水信一郎 代表取締役社長
様々な分野から人材サービスに参入しているが、新卒採用の支援は長く事業運営できる会社が手掛けるべきだろう。当社は、新卒採用の本質は企業と学生の相互理解であることを大切にし、一つ一つニーズに対して中長期的にメリットがあることを提案する。仮に取引が小さくても企業と学生のセンターに位置し、採用と就職にとって最も大事な部分を担えるようにしたい。

プロコミット 清水隆史 代表取締役社長
求人内容に合う人を紹介するだけでなく、もっと企業側の考えやロジックをしっかり理解して、潜在的なニーズへの働きかけを強化していく。

ロバート・ウォルターズ・ジャパン
デイビッド・スワン 代表取締役社長
当社は、2015年、日本オフィス設立15年周年を迎える。バイリンガル・スペシャリスト人材に特化した人材紹介会社として、サービスの質をさらに向上させることで、クライアントと企業のニーズに応えていく。

アド・トップ 辻佐和子 代表取締役社長
システムマッチングが増えるなかで、人を介在する意義というものをしっかり出して意向と考える。求人メディア以外のHRサービスをしっかり理解を持った上で、企業に対するコンサルティングを実施していく。

SUCCESS21 仲直樹 エグゼクティブコンサルタント
密なお付き合いの継続性。企業の潜在的な情報を上手く引き出すための働きかけをまず当社が積極的に行っていくことが重要と考える。

MS-Japan 中園隼人 取締役
2015年も求人ニーズは伸び続けていくことが予想される。それに伴い、人材系各社は登録者の確保と、自社コンサルタントの確保が経営課題になることは必至である。職種特化型の人材紹介事業を展開している当社は、特化型の強みに更に磨きをかけていく必要がある。如何に登録者に満足して貰えるかを追求していけば、結果的に求人企業にも喜んで頂ける結果を出すことができると考える。

テクノブレーン 能勢賢太郎 代表取締役社長
サーチ・スカウト力の強化

マイナビ 浜田憲尚 専務取締役 就職情報事業本部長
新卒採用は2013年卒の広報活動開始時期変更に引き続き、再度大きな転換期と迎える。マイナビでもマッチング生産性を高めるため、採用実績校による検索性の向上など、様々な取り組みを行っている。最も多くの企業や学生に利用いただけるようになった今、マイナビを通じて就職・採用された方々の満足度を高められるよう、より一層細やかなサービス提供に努めていく。

キャリアエピソード 備海宏則 代表取締役
「ここ2、3年の好調さをどこまで維持できるか息切れし始めるか」。この2015年は問われると思う。しっかりとクライアント(顧客企業)に入り込んでいる人材エージェントは生き残り、表面的に好景気・大量採用に乗じて加わっただけの人材エージェントは厳しくなってくると思う。当社としては引き続きヘッドハンターとしてのビジネスとインハウスリクルーティングを同時並行で結果を出し続けていきたいと思う。

ディスコグローバルサーチ 久永祐喜 代表取締役
確実に必要な人財数を確保するために新卒採用においても人財紹介の活用が増加傾向にあり、今後市場は広がる可能性がある。また、少子高齢化による人財不足という日本の課題を考えると、これまで人を集めたり探したりして採用に導くことが人財会社の役割だったが、今後は人財育成にも注力して能力の底上げを図り、人財の戦力化やグローバル化に対応する必要があるだろう。

シグニアムインターナショナル 福居徹 代表取締役社長
人材精査の期間中に「INTERIM」で専門職務をこなしてもらいたいという暫定ポジションの需要も大きくなってくるのではと見ている。

ジェイ エイ シー リクルートメント 松園健 代表取締役社長・COO
人材業界は、ますます企業のグローバル化に伴った人材確保への対応を求められる。全般的に経営環境が不透明な中、企業の経営体質強化のためのミドルから経営幹部の確保への対応が増加すると考えられる。そのような中、当社は従来からの強みであるグローバル関連を含めた企業が必要とするミドルからエグゼクティブ層や各分野での専門性を求められるスペシャリストなどのコア人材を中心に中高額帯層向けのサービスを引き続き強化・継続していく。企業と人材の双方を一人のコンサルタントが担当し、高いレベルのコンサルティングしていくスタイルに拘って事業の規模拡大を推進していく。

テンプスタッフ 水田正道 代表取締役社長
現在、2015年3月期から3カ年の中期経営計画を策定。「利用者数・雇用者数No.1」という目標に向かい、グループ経営やセグメント体制の最適化を図っている。雇用の流動と安定化を実現する「社会的なインフラとしての人材サービス企業」として認められる存在になりたいと思っている。

リクルートキャリア 水谷智之 代表取締役社長
企業の採用条件が細分化し、その条件を満たす人材の採用難易度がますます高まっている昨今。より人材紹介事業に対する要望と期待が高まる。そうした要望やニーズにきめ細かく応えるための体制強化やサービス提供に力を入れていく。また目の前のニーズに応えるだけでなく、社会的課題への対応や長期的視点でリクルートキャリアがビジョンにも掲げた「働く喜び」の輪が新たな活力を生み出している社会の実現にも、今以上に力を入れていきたい。

インテリジェンス 峯尾太郎 常務執行役員
データベースサービスの普及で人材サービスのあり方が変わった。一方で、ダイレクトリクルーティングによって採用担当が転職希望者のレジュメを閲覧できるサービスもある。ただし、ダイレクトリクルーティングでは採用担当者が人材紹介コンサルタントと同様の動きをしなければならないので負担は大きい。非対面のデジタルマッチングによる求人サービスから、専門性の高い対面型の人材紹介まで採用したい人材によって利用するサービスは多様化している。当社は、企業が必要とするさまざまな人材ニーズに対応できる体制を構築していく。

ボンド・アソシエイツ 三村朋成 代表取締役
求職者確保がこれまで以上に厳しくなることを想定し、きめ細かいサービスとリサーチ力強化に取り組む方針。

リブセンス 村上太一 代表取締役社長
高年収層の転職サポートサービスが多い中、当社では転職サイト「ジョブセンスリンク」の求職者サポートとして「転職ナコウド」というサービスを始めている。これは、幅広い年収層の求職者に対して、電話で転職サポートを行うというもので、サービス開始後から順調に採用決定数が増えてきている。当社は、こうした求職者のサポート等を通じて、雇用のミスマッチ解消に取り組んでいる。

フジキャリアデザイン 森英昭 取締役人材紹介部長
大手の系列化と資本系や中小の特化により業界の二極化が進み、資本提携や小規模の合併などが今年もまた多いのではないか。当社ではコンサルタントが企業・求職者の双方に深く入り込み、ミスマッチのない信頼される会社を目指す。

島本パートナーズ 安永雄彦 代表取締役社長
需給ギャップの拡大で、単純なマッチングで売上を上げるビジネス・モデルでは、成長が難しくなる。当社はリテーナー型で、エグゼクティブ・サーチ・コンサルティングを行っているが、顧客の要求水準も高くなる傾向があり、サーチ活動にかかる期間も予定より長期化している。経営幹部のアセスメントや、組織開発をも併せたコンサルティングサービスの提供を考えている。

マイナビ 山本智美 執行役員 紹介事業本部長
これまでと変わりなく成長スピードにこだわり、全国的な営業網を確実に広げながら、メディカル系専門職(有資格者)を筆頭に、各業界における専門職、IT・メーカーの技術職に注力するとともに、あらゆる業界をまたぐ営業職全般の紹介の幅を広げていく。

Spring Professional Japan ラニス・ヤーザブ 代表取締役社長
製造業界での雇用は、減速の兆しを見せているが、テクノロジーや通信業界における雇用は引き続き活発だろう。企業は引き続き限られた人材ソースの中で、求職者獲得を競い合っているため、ビジネスは2015年も好調であることが見込まれる。

コンコードエグゼクティブグループ 渡辺秀和 代表取締役社長
拡大を続ける人材業界も、その発展のためには、業界外からハイポテンシャルの人材を採用して、育成していく必要がある。新卒採用を含めて、積極的に業界外からの採用を行い、事業拡大を進める計画だ。

ディスコ 藁沢伸康 転職紹介事業部 事業部長
企業と人財、双方へのきめ細かい対応とスピード感を持ち、独自の求人と候補者のキャリアを広げていくマッチングを心掛けていきたい。

「日本人材ニュース」Vol.249(1月26日)から一部抜粋して転載
※記事の内容は掲載時点のものです。

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