厚生労働省の2月の労働経済動向調査によると、人手不足の状況が続き、採用を増やしたり非正規社員から正社員への登用を実施する事業所の割合が増加していることが分かった。

 2月1日現在、正社員等の労働者過不足判断D.I.(「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値)は31ポイントとなり、15期連続の不足となった。
 
 12分類された産業別に見ると4期連続ですべての産業で正社員が不足しており、特に「医療、福祉」(48ポイント)、「運輸業,郵便業」(47ポイント)、「建設業」(38ポイント)、「学術研究,専門・技術サービス業」(35ポイント)、「不動産業,物品賃貸業」(32ポイント)などで不足感が強い。

 一方、パートタイムの労働者過不足判断D.I.は29ポイントとなり、22期連続の不足となった。「情報通信業」を除く産業でパートが不足し、特に「宿泊業,飲食サービス業」(53ポイント)、「サービス業)(45ポイント)、「卸売業,小売業」(39ポイント)、「医療、福祉」(36ポイント)、「生活関連サービス業,娯楽業」(31ポイント)などで不足感が強い。

 14年10〜12月に中途採用を実施した事業所は全体の66%で、前年同期を10ポイント上回った。「医療、福祉」(85%)、「宿泊業,飲食サービス業」(73%)、「サービス業」(70%)、「運輸業,郵便業」(69%)、「生活関連サービス業,娯楽業」(68%)などで中途採用を行った事業所の割合が高かった。1〜3月も59%の事業所が中途採用を予定している。

 2月1日現在、今春卒業予定者の採用を予定している事業所の割合を学歴別に見ると、高校卒40%、高専・短大卒32%、大学卒(文科系)43%、大学卒(理科系)44%、大学院卒27%、専修学校卒23%となり、すべての学歴で前年同期の水準を上回った。

 過去1年以内に非正規社員から正社員への登用を行った事業所の割合は47%で、前年を14ポイント上回った。登用を行った事業所のうち64%が「今後も登用していきたい」と回答している。

 調査は主要産業の30人規模以上の事業所のうち5835事業所を抽出して実施し、2895事業所から有効回答を得た。

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