リクルート
リクルートホールディングス(東京・千代田、峰岸真澄社長)が10月16日、東証1部に新規上場。公募・売り出し価格の3100円を2%強上回る3170円の初値を付けた。初値による時価総額は約1兆8200億円となり、今年最大の上場となった。今回の上場で資金調達力を高め、M&A(合併・買収)を活用した展開でグローバルナンバーワンを目指す。上場で調達した約1000億円は、主に国内外のM&Aによる投資にあて拡大を図る方針だ。

 同社が注力する事業は、?販促メディア(ライフイベント、日常生活)、?人材メディア(国内人材募集、海外人材募集、その他(人材紹介、人材組織開発))、?人材派遣(国内派遣、海外派遣)の三つで、2014年3月期の業績は、連結売上高1兆1916億円、連結経常利益1221億円、EBITDA1806億円となっている。

 人材メディア事業と人材派遣事業を合わせた人材サービスの売上高は、14年3月期に約8800億円(人材メディア事業2669億円、人材派遣事業6124億円)と国内首位で、2位のテンプホールディングス(約3600億円)の2倍以上の規模となった。

 しかし、世界を見渡せば人材サービスでトップスリーのアデコ(スイス)、ランスタッド(オランダ)、マンパワーグループ(米国)との差は大きい。世界首位のアデコの売上高は約2兆5000億円に上る。リクルートも2012年の米アドバンテージ・リソーシング社、求人検索大手の米インディード社などの買収で追いすがるが世界トップの背中は依然として遠い。

 上場による資金調達力の強化と国内事業の安定したキャッシュフローを確保し、「2020年には人材領域でグローバルナンバーワンを、2030年には人材と販促領域でグローバルナンバーワンを目指す」と16日の上場記者会見で峰岸社長は宣言した。

 中長期の成長戦略を達成するために、「IT化の推進(プラットフォームの共通ID化など)」「海外の買収企業の収益向上」「M&Aによる成長」の三つを掲げ、国内ではIT活用による事業強化、海外ではM&Aによる事業拡大を図る方針を明確にさせた。

 国内では「IT人材の採用と育成強化によるIT化の推進、IT人材への権限移譲による事業スピードの加速、新規技術の研究・開発・投資及び社内事業開発制度強化による新規事業開発の推進」とITを中心とした事業強化を図る。

 販促領域で開発された「サロンボード」「Airレジ」等、ITシステムを活用したクライアント業務支援強化によるクライアント基盤の拡充や各専門プラットフォームの共通ID化によるユーザー基盤の拡充は新たな事業分野だ。

 海外ではM&Aにより子会社化した会社へ国内既存事業で積み上げてきた事業運営ノウハウやビジネスモデル等の導入を行い企業価値を向上させるほか、M&A、提携及び合弁会社の設立等に取り組むとしている。

 これらの取り組みにより、今期の連結業績予想は売上高1兆2900億円(前期比8.3%増)、営業利益1210億円(同3.0%増)、経常利益1260億円(同3.2%増)、当期純利益660億円(同0.9%増)EBITDA1910億円(同5.7%増)を見込んでいる。


「グローバルナンバーワンを目指す」と宣言した峰岸社長

「日本人材ニュース」Vol.241(10月24日)から一部抜粋して転載 ※記事の内容は掲載時点のものです。

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