企業の今後の海外進出では、生産拠点はベトナム、販売先は中国を重視する企業がそれぞれ最も多いことが、帝国データバンクが全国1万社から回答を得た「海外進出に関する企業の意識調査」で明らかになった。

 今後、海外に進出する場合に生産拠点として最も重視する国・地域を聞いたところ、「ベトナム」(10.9%)がトップだった。次いで、「中国」(6.9%)、「タイ」(4.8%)、「インドネシア」(2.6%)、「ミャンマー」(1.9%)と続いた。

 ベトナムを重視する企業からは、「日本企業の海外生産として東南アジア進出が現実になっているなかでは、現地生産、現地販売でコスト低減と販売先の確保に取り組むことが不可欠」(フェルト・不織布製造、東京都)や「労働者の年齢が若くかつ技能のレベルが高いベトナムに注目している」(電気機械製造、栃木県)などのコメントが見られる。

 一方、今後重視する販売先は「中国」(12.2%)がトップ。次いで、「米国」(4.2%)、「タイ」(4.0%)、「ベトナム」(3.6%)、「インドネシア」(3.4%)と続いた。生産拠点、販売先ともに上位10カ国のうち、アジア諸国・地域以外は米国だけだった。

 生産や販売拠点を持つ直接的な進出、もしくは業務提携や輸出などの間接的な進出をしている企業は27.0%。企業規模が大きいほど進出している企業の割合が高く、「大企業」(35.8%)、「中小企業」(24.4%)、「小規模企業」(15.0%)となっている。

 業界別では、「精密機械、医療機械・器具製造」(63.0%)が最も高く、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(60.7%)、「機械製造」(58.9%)、「輸送用機械・器具製造」(57.6%)、「化学品製造」(52.3%)が半数を超えている。これを生産・販売拠点を持つ直接的な海外進出に絞ると、自動車関連が含まれる「輸送用機械・器具製造」(45.8%)が最も高い。

 また、海外に直接進出している企業のうち、中国に進出している企業は65.0%に上り、中国を「生産拠点」として重視している企業の割合と「販売先」として重視している企業の割合はほぼ同程度となっている。

 海外に直接進出している企業のうち、海外から撤退したこと、または海外からの撤退を検討したことがある企業は約4割(39.4%)。その際に直面した課題には、「資金回収が困難」(38.3%)、「現地従業員の処遇」(31.8%)、「法制度・会計制度・行政手続き」(29.5%)、「為替レート」(26.5%)などが挙がった。

 調査は9月下旬に実施し、全国の1万968社から回答を得た。

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