初めて勤務した会社を辞めた若手社員の6割が3年以内に退職している実態が、厚生労働省が9月25日に発表した「若年者雇用実態調査」で判明した。労働力人口が減少する中で、改めて採用時のマッチングと若手社員の定着施策が重要課題になっている。

 現在働いている15〜34歳のうち、初めて勤務した会社をすでに辞めている人の割合は47.3%。このうち、初めて勤務した会社を「3年未満」で辞めた人の割合は男性62.8%、女性61.8%だった。雇用形態別では正社員60.3%、正社員以外64.2%と高く、最も多いのは男女ともに「1〜2年未満」(男性21.4%、女性21.1%)となっている。

 初めて勤務した会社を辞めた主な理由(複数回答3つ)は順番に、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(22.2%)、「人間関係がよくなかった」(19.6%)、「仕事が自分に合わない」(18.8%)が多かった。

 様々な転職実態調査で必ず会社を辞めたい理由のトップに入ってくる「賃金の条件がよくなかった」は18.0%の4位で、実際に会社を辞めた理由と違いが出ている。
 
 辞めた理由を男女別に見ると、男性のトップ3は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(22.7%)、「賃金の条件がよくなかった」(22.1%)、「仕事が自分に合わない」(22.0%)、女性では「人間関係がよくなかった」(22.8%)、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(21.8%)、「仕事が自分に合わない」(16.1%)だった。

 こうした状況に対して、若手正社員の「定着のための対策を行っている」事業所は70.5%、正社員以外でも54.2%と多くの事業で定着施策が実施されている。若手正社員定着の具体的な対策(複数回答)は、「職場での意思疎通の向上」(59.2%)、「本人の能力・適正にあった配置」(54.0%)、「教育訓練の実施・援助」(51.6%)、「採用前の詳細な説明・情報提供」(51.2%)が過半数の企業で行われている。

一方、若手正社員の転職意向だが、「定年前に転職したいと思っている」(25.7%)が4人に1人の割合となったものの、「転職したいと思っていない」(32.5%)を下回っている。最も多かったのは「分からない」(41.2%)であることから、定着施策の重要性は一層増している。

 転職したいと思っている社員の転職希望理由(複数回答)は、「賃金条件のよい会社にかわりたい」(44.6%)が最多で、「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」(40.6%)、「自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい」(36.7%)、「仕事が自分にあった会社にかわりたい」(36.3%)、「将来性のある会社にかわりたい」(29.5%)と続いている。

 実際に初めて勤務した会社を辞めた理由と比較すると、賃金条件よりもワークライフバランスを考えた働き方を重視した「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」、仕事の内容ややりがいを意識した「自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい」「仕事が自分にあった会社にかわりたい」が上位に入っている。

 また、「将来性のある会社にかわりたい」という理由も多く、企業は社員に対しビジョンや経営戦略を理解させていく必要があることがうかがえる結果となっている。

「日本人材ニュース」Vol.238(9月26日)から一部抜粋して転載 ※記事の内容は掲載時点のものです。

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