経団連が会員企業を対象に実施した調査によると、厳選採用や内定辞退の増加によって、今年の新入社員の採用数が減少した企業が3割に上ったことが分かった。回答企業の7割以上が従業員数1000人以上の大企業。

 前年(2013年4月)入社に比べた新卒採用数を聞いたところ、「増加」(44.4%)、「減少」(29.1%)、「変化なし」(25.1%)となった。大企業は業績回復を背景に高い採用意欲を見せていたが、回答企業の約3割が採用数を減らしている。

 前年入社と比べた増減率は、採用数が増加した企業は「10%以上30%未満」(41.3%)が最も多く、「50%以上」増加した企業が2割近く(18.9%)あった。一方、採用数が減少した企業も「10%以上30%未満」(44.0%)が最も多く、「50%以上」減少した企業は12.5%だった。

 採用数が増減した理由を見ると、増加した企業では「業績の回復、事業拡大」(49.5%)が圧倒的に多い。「採用基準に見合う学生の増加」(17.1%)が2番目に入り、自社の採用ターゲットとする学生に対して的確にアプローチできた企業は採用数を増やすことができたようだ。

 一方、減少した企業では「その他」(28.8%)が最多だが、次いで「採用基準に見合う学生の減少」(21.7%)、「内定辞退者が予想を上回った結果」(16.8%)、「業績の停滞・悪化、事業縮小」(15.8%)と続いた。採用数の減少は、業績の悪化よりも、採用基準を下げない「厳選採用」の継続や特定の学生に内定が重複したことが影響している。

 各社が優秀な学生を奪い合う状況は、就職採用市場に関する評価について「買い手市場」と回答した企業がわずか2.8%しかなく、半数超の企業が「売り手市場」(51.5%)と回答していることからもうかがえる。

 採用した学生に対する満足度(前年との比較)は「変わらなかった」(60.8%)、「満足している」(26.1%)が大半であるものの、「満足していない」(11.4%)が1割を超えており、採用数を確保するために採用基準を下げた企業があったようだ。

 調査は7月に実施し、経団連の会員企業1310社のうち、660社から回答を得た。

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