コロッケを食べるための“専用塩”を体験してきた
個人的なことを言わせてもらうと、まねできないです。トンカツはもちろん、コロッケだって、付け合わせのキャベツだって、私はソースでいただくから。まさに、生粋の“ソース派”。ぶっちゃけ、多い人種だと思うけども。
こんな世の風潮に物申す団体が現れました。以前、コネタでも取材した「日本コロッケ協会」は、なんとコロッケ専用の塩の開発に勤しんでいるらしいのです。
何でまたそんな物を……。その目的について、同協会事務局長の竹内さんに話を伺いましょうか。
――ちょっと、待ってください。コロッケ協会に所属していらっしゃいますよね？
竹内さん コロッケは“ジュワ〜”ではなく“サクッ”というイメージじゃないですか？ しかし、ソースをかけると重くなるんです。トンカツをしょう油で食べる方はいらっしゃいますし、ハンバーグをポン酢でいただく方法もあると思います。そんなアッサリした方向性がコロッケでもできないかな？ って考えたんです。
特に竹内さん、以下の事例に憤っている。
「お店でコロッケを頼むと、始めからソースをかけた状態で出されることがあるんですね。ソースがかかると、衣がシナっとしちゃう。塩ならばその辺の魅力は損なわれません。塩こそ、コロッケに合う調味料なのではないかと！」
そんなに言うなら、ぜひ味わいたい。いくつかあるという開発中の“コロッケ専用塩”を、体験しに行ってきました！
当日ご用意いただいたのは、以下の6種。
しょっぱい系
「柚子胡椒」、「マスタード」、「七味唐辛子」、「ハバネロ」
甘い系
「チャイ」、「メープル」
まずはコロッケに何もかけず、そのままの状態（これをコロッケ協会では「まる」と呼ぶ）でいただくことを推奨されました。その後、専用塩をかけると違いがわかりやすいのだそう。
では、竹内さんが「何にでも合う」と太鼓判を押す「柚子胡椒」からスタート！ コロッケに振りかけ、いただきます。……おわっ、柚子の香りが強烈に来る。この塩の魅力を覚えたら、「柚子胡椒」塩でコロッケを食べたくなる。しかし、たまには「まる」でいきたくなる。
要するにコロッケそのままのおいしさを調味料の味で上書きせず、より良い相乗効果が得られているのでしょう。
続いては、竹内さんが「間違いない！」と評価する「七味唐辛子」を振りかけます。……あっ、ちゃんとゴマも含まれてる。
「七味の要素は損なわず、それでいて単に『七味唐辛子＋塩』にはならないよう気を付けました」（竹内さん）
食べてみると、これがウマい！ 本当に間違いない。あとコロッケだけでなく、何にでも合う気がしました。もしかしたら、ふりかけ的感覚もあるのかもしれないな。万能塩です。
三発目は、「トンカツにも合います」と竹内さんが評価する「マスタード」を。では、いただきます。……おわっ、鼻に来た！
「トンカツにマスタードをかけると、こんな感じですよね（笑）」（竹内さん）
確かに。でも、キツいわけじゃないです。そこは、塩の範ちゅうをギリギリ逸脱していないというか。
「ハバネロ」塩も、美味。正直、ハバネロは苦手な私なんですが、絶妙なアクセント。おいしかったです。……あっ、後から辛いのが来た！
では、いよいよ“甘い系”の塩を行こうかな。というわけで「メープル」をかけます。……匂いが甘い！
「そうですよね。なんで、この塩を作っちゃったんだろうな……」（竹内さん）
いきなり後悔のコメントが飛び出したが、食べてみるとこれはこれでアリ。甘みがあるので数個のコロッケを食べる場合は“トゥー・マッチ”だけど、一個をじっくり楽しみたい時はバッチリだと思う。おやつ感覚でイケます。
「チャイ」塩は、まさにチャイ。これをかけ、コロッケを口にすると、外国に来た気分になる。めっちゃ上品です。後味は、高級クッキーを食べた時に似てる気がしました。
これらを食べ、私なりの総評を。コロッケにはさまざまな楽しみ方があるということを痛感しました。「コロッケ＋ソース」の食し方しか知らない人は、コロッケの魅力の一面しか知れていない。
ということは「コロッケ＋ソース」でグッと来なかった人が、かわいそう。コロッケの魅力を、図らずも自分でスポイルしてることになるのだから。塩で食べれば、グッと来るかもしれないのに！
「われわれが伝えたかったのは『コロッケは自由な食べ物だ』ということです。中に何を入れてもいいコロッケなのに、外にかける調味料はソースになりがち。もしかしたら、しょう油でもケチャップでもいいのに。一択ではないのです。専用塩はあくまで提案でして、いろいろな楽しみ方のきっかけ作りができればと思っています」（竹内さん）
確かに。私は、奥の深さを思い知りました。ソースでしか食べていなかったなんて、われながらもったいない。コロッケ専用の塩、欲しいです。個人的には「柚子胡椒」と「七味唐辛子」と「メープル」が欲しい。
（寺西ジャジューカ）
