「インド人は上映中に歌ったり踊ったりしながら観るらしい」といったイメージも広まっています。果たしてそれは真実なのか? (c)Eros International Ltd

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世界中で記録的なヒットをもたらした『ムトゥ 踊るマハラジャ』の公開から10数年。昨年はさらに『きっと、うまくいく』などの大ヒット作も登場し、すっかり日本でもお馴染みになったインド映画。と同時に、「インド人は上映中に歌ったり踊ったりしながら観るらしい」といったイメージも広まっています。果たしてそれは真実なのか? 日本の電機メーカーで働く映画好きなインド人Rさんに取材を敢行しました。

■インド人は「ハッピーな映画」が大好き!

まずはインド人の映画に対する思い入れから。インド人にとって「映画」は娯楽のなかで特にポピュラーな存在とのこと。映画産業も盛んで、実に1年で1000本もの映画を製作しているのだとか。単純計算すれば、毎月83本の映画が公開になっていることになり、日本では考えられない数字ですよね。かのハリウッドでさえ年間200本といいますし、いかにこれが大きな数字かわかります。ちなみにインドの映画産業は「Bollywood(ボリウッド)」という愛称でもおなじみです。

インド人は、特にミュージカル系やハッピーエンドの映画が大好きだそうで、空想世界を描いたものや“夢見る系”映画の人気も高いのだとか。辛い境遇の人物が登場することはありますが、最後にはとにかく明るいハッピーエンド! という映画が多いことが、全世界で支持を得られている理由の1つなのかも!? 必然的に「映画スター」は国民に非常に愛される存在だそうで、たとえるなら、全盛期の石原裕次郎、みたいな大御所のスターが何人かいるそうです。

■「ダンス」は親しい仲間と大勢で楽しむもの

さて、肝心の「インド人は映画を見ながら一緒に歌い踊りながら観るのか?」という点について尋ねてみると、実際には必ずしもそうではない、とのことでした。若者や一部の少年少女は鑑賞中にダンスをし始めることもあるそうですが、全員ではないし、それほど一般的なこととは言えないそう。ただし例外はあり、ラジ二カーント(『ムトゥ 踊るマハラジャ』主役)やシャールク・カーン(『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』主役)といったビッグ・スターの映画の場合に限っては、映画中に歌い踊りだす人も増えるのだそうです。

作中のミュージカルシーンの多さに圧倒され、鑑賞スタイルに関してはちょっぴり誇大なイメージが広まってしまったようですが、映画以外で、インド人が必ずといっていいほど“踊る”機会はあるそうです。それは「結婚式」や「パーティ」。インドの結婚式は地方によって非常に多彩ですが、かなりの確率で音楽を流しながら全員で踊る時間があるのだとか。特に北インドの地域は盛んだそうです。

Rさんによれば、インドの人々は「知人や仲間内で踊るのが好き」なだけで、その日知り合った見知らぬ人とダンスをする、いわゆる“クラブ”のような形はあまり快適だと感じないのだとか。そして一人で踊るよりも、カップルや大勢のグループで踊るのが好きなのだそうです。

■日本でも踊って観られるイベントが開催!

さてさて、そんな楽しいインド映画ですが、このGW、広いライブハウスを借り切って爆音で踊りながら観よう! というイベントが日本の3都市で開催されます。上映されるのは、上述の映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』。普段は踊らないインド人でさえ踊りたくなる大人気映画とのことなので、遠慮せず踊っちゃいましょう(笑)! 最後にRさんに「慣れない日本人が踊りながら映画を楽しむコツ」を尋ねてみたところ、(1)親しい仲間と大勢で楽しむこと、(2)元気な人が「踊ろう、踊ろう!」と周りをどんどん煽ること、そして(3)映画に出てくるようなインドの衣服を着るとさらに気分が盛り上がるのでは? とのことでした。

今回のイベントでも、インド風の格好で行けば前売料金で入場できる「マサラ割引」なるものがあるそうなので、ぜひ利用すべし。観れば必ずハッピーになれるインド映画、一緒に身体を動かせばさらに楽しさは倍増かも! ぜひ親しい仲間同士やカップルで“体感”しに行ってみては? 
(外山ゆひら)

『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』 爆音マサラ上映クアトロ・ツアー2014
・2014年4月29日(火・祝)梅田クラブクアトロ 13:00開場 14:00開演
・2014年5月2日(金)渋谷クラブクアトロ 17:30開場 18:30開演
・2014年5月3日(土)広島クラブクアトロ 13:00開場 14:00開演
各前売1,500円 / 当日1,800円(税込/ドリンク別/オールスタンディング/整理番号付)