ガラス張りのトイレは、中が見えなくなってるので大丈夫。風評に負けない!

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皆さん、大分市「若草通り商店街」に設置された「スモークde あんしんトイレ」(通称“スモークトイレ”)をご存じでしょうか?
国の商店街まちづくり事業に応募し、450万円をかけて完成したこのトイレ。商店街のど真ん中に設置されたにもかかわらず、ガラス張りだそうなんです。
すごいトイレだな……と思いきや、もちろんそのままじゃありません! 人が中に入るとセンサーが感知し、ガラスがスモーク状に変化。内部は見えなくなるので安心してご利用いただきたい、そんなトイレになっております。

このような斬新過ぎるトイレを製作・設置したきっかけは何だったのか? 同商店街・協同組合の榊原副理事長に伺いました。
「夜のにぎわいを大分に創出したいと考えました。でも、大分の中心部に公衆トイレは少ないんですね。トイレを作らないと“屋台街”が作れません」
というわけで、まずは「トイレ」の設置を思い付く。でも、ただ単に普通のトイレを作ってもつまらない。組合内でアイデアを募るも、なかなか斬新な案は出て来ませんでした。

そこで一つの参考になったのは、ヨーロッパにて普及しているトイレ。こちらは自分でスイッチをオン・オフすることでガラスが曇ったり透明になったりするものだそうです。
「ただこれだと、中でトラブルにあった場合、気が付かないんですよ。そこで、新技術を活用しました」(榊原副理事長)
大分県内某企業が特許を持つ“新技術”を活用し、「スモークde あんしんトイレ」が完成! 仕組みとしては、「電流が流れると透明になるガラス」だとお考えください。元の状態が“曇りガラス”になっており、人が退室することで電源がオン。35秒後に透明となります。

でも、なぜ手動のオン・オフにしなかったのか。 それは、トイレ内の安全を考慮したからこそです。
「脳卒中や脳梗塞などで倒れた人の発見を遅れないようにするためです。トイレ内で35秒動きがなければ自動的にスモークは晴れるので、中を見ることができますよね。もし危険な状況でしたら、ドアを壊してもいいのでトイレ内へ入り救い出してあげてほしい。とにかく、人命が最優先ですから」(榊原副理事長)
他にも、熟慮に熟慮を重ねて設計されている。例えば、もしトイレ内で倒れた場合、上向きの体勢にならない作りになっているのだそう。上向きだと舌を巻き、脳出血などで酸素供給がなくなる。結果、手遅れになる可能性があるのだ。また、トイレ裏側へのAED設置も予定されているとのこと。

……といった「スモークトイレ」なのですが、予期せぬところで騒動が巻き起こってしまっています。一部地元紙が「泥酔した女性が利用していたら丸見えになってしまった」と報道し、それを契機にネット上では「スリリング」「何がしたいんだ」という声がチラホラと。
「防犯カメラで確認しましたが、そんな女性は映ってませんでしたよ! カメラらしき物を持った人がウロウロしている姿は映っていましたが」(榊原副理事長)
要するに“でっちあげ”だと主張するのが、同商店街による言い分。

また、商店街側も実際に試してみている。スモーク→透明へ変化させる実証実験が行われているのです。まずトイレ内に入り、わざと動かないでみる。ジッとする。
「トイレに座って動かずに35秒もジッとしてるのは、キツいんです。普通に利用してたら、絶対にセンサーが反応しますって」(榊原副理事長)
前述の“カメラらしき物を持った人物”は、透明にさせるまでに実は67秒を要していたのだそう。その様子、バッチリ防犯カメラに収められているらしいです。意識のある人がガラスを透明にさせるには、無駄な忍耐力が必要なのだろうか……。
「普通にしてたらスモークがかかるんだから、35秒を1分や2分にしても一緒です!」(榊原副理事長)

予期せぬ理由で話題になってしまった“スモークトイレ”。こんな風評に負けず、果たして実際に使われているのでしょうか?
「やはり、初めは『恥ずかしい!』という声もありましたよ。でも、見えませんから(笑)。スモークがかかっていますし、恥ずかしさを考慮して体の向きも考えて作っています」(榊原副理事長)
今では、平均して一日に2ロールのトイレットペーパーが無くなっているという“スモークトイレ”。利用率は、なかなかのものです。

「だいたい、そんな変なものだったら、補助金なんて出ませんって(笑)!」(榊原副理事長)
世に多くの声が飛び交っていますが、とりあえず商店街による言い分は以上です。
(寺西ジャジューカ)