「新しい学びフェスタ2013」決勝トーナメントの様子。
(主催 ベネッセコーポレーション/共催 聖学院中学校・高等学校/新しい学びフェスタ実行委員会、日本マイクロソフト株式会社)

写真拡大

中1から高3までの男女が戦うロボット大会が、3月23日に聖学院中学校・高等学校で行われると耳にした。
マイクロソフトとベネッセコーポレーションによる理数系人材育成プログラムで、その名も「新しい学びフェスタ2013 『ロボットを作ろう、動かそう』合同発表会」。

でも、それって、高等専門学校(高専)が参加する、いわゆる「ロボコン」とどう違うの? 
主催のベネッセコーポレーション 学校教育カンパニー長室の小村俊平さんに聞いた。

「専門性が高い『高専ロボコン』と異なる点は、ロボットやコンピュータに詳しくない中学生や高校生が参加できることです。ロボット好きの生徒だけではなく、全く興味がない女子高生でも授業でやってみたら面白くなるというのが狙いです。ロボット好き男子と、そうでない女子が交流する場ができたら面白いと思いませんか」

スタートは7年前。大学生講師による土曜日や夏休みの出張授業と、教員が総合学習や情報の時間で行う授業という二つの方法で、毎年20校程度の中学校や高等学校が参加している。そして、毎年1回、各校が作成したロボットとプログラムを持ち寄って競いあう大会が行われているという。

大会では、「2〜3人1組でチームを作ること」「共通の4本足のロボットを使うこと」「芸のプレゼンと、レースで競うこと」以外、可能なかぎりルールを設けないそうだ。
「面白いのは、同じ教材で同じロボットを作っているはずなのに、各校が全く異なるプレゼンやロボットの動きを披露することです。たとえば、基盤や配線むき出しのロボットは『可愛くない』ということで、女子チームは着ぐるみを着せたり、ロボットを装飾したりすることが多いです。技術だけでなくデザインやプレゼン、さらにチャレンジ精神を重視しているため、技術力のある理系男子チームではなく、プレゼンに優れた女子チームが勝つこともあります」

ぱっと見て勝ち負けがわかるレースだけで決着をつけないのは、組み立て、プログラミング、デザイン、プレゼンなど、多様な課題に取り組みことで、生徒同士が単なる分業ではなく、コミュニケーションしながら知恵を出し合うことを学ぶため。
「実社会に出ると、どんなに技術力が高くても、プレゼンが下手だと研究開発費を集めることすらできません。自分が良いと思うものを他の誰かにも良いと言ってもらえるか、他者を巻き込めるかどうかが勝負です」と小村さんは言う。

また、学生時代に多くの生徒たちが悩む「何のために勉強するの?」という疑問への答えも、ロボット作りの過程の中で発見できることがあるそうだ。
「ロボットを動かすためのプログラミングは、たった二つの命令でできるほど簡単です。しかし、素早く走るためには三角関数を使って考察をしたり、犬の走り方と馬の走り方の違いを分析したり、コンピュータ・プログラムの意味の理解をするために英語を勉強したりと、様々な教科が関係します。自分たちが今やりたいことを進める上で、学校で学んだ教科が使えること、社会で活かされることに気づくのです」

ロボットは最低限のマニュアルがあれば誰でも簡単に動かせるが、正しい手順を踏まなければ思いどおりの結果にならない。そのため、何度も繰り返し仮説検証し、思考しながら学ぶのに適しているという。これが中高生にとって「のめり込む要素」になるそうだ。これは実験結果が判明するまでに時間がかかるなど、成功したかどうかの見極めが難しい生物実験に比べての特徴だという。

今年度のロボット大会の参加者は、公立私立あわせて計15校から38チーム、約200名だそう。いったいどんな大会になるのか。実際の模様は、後編で後日お伝えしたい。
(田幸和歌子)

※マイクロソフトとベネッセコーポレーションによる、理数系人材育成プログラム「ロボットを作ろう、動かそう」講座に興味のある方は、以下までお問い合わせを

株式会社ベネッセコーポレーション 学校教育カンパニー長室 担当:小村
電話 050-3377-3013
メール skomura@mail.benesse.co.jp