ウワサの「高速ボタン」。高速道路に乗る時に押すと、時間は加味されなくなる。タクシーで高速に乗る事自体、なかなかないけど

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値上げの春。4月にはタクシー料金の初乗りは730円(都内の場合)にもなるという。歓送迎会シーズンで、何かとタクシーを利用する機会が多いこの時期、知っておきたいタクシーに関する雑学を、この道足かけ45年、ベテランドライバーの鐘井満さん(株式会社ワイキャブ)に聞いてみた。

●「美味しい店はタクシーの運転手さんに聞け」と言われるけど、運転手さんはグルメなの?

よく、知らない土地に行って美味しいお店を知りたければタクシーの運転手さんに聞けばいいというが、果たしてその真相は?
「お客さんによって、味の好みが違うから、単に自分の好きな店を教える訳ではありません。私も全ての店を食べ歩いているわけではありませんし(笑)。そのかわり、お客さんが『美味しかった』と言っていたお店や、このところお客さんが増えているお店などは紹介します」

つまり、お客さんからの情報を集めて、別のお客さんに聞かれた時に話すというわけだ。鐘井さんの場合は、お客さんの性別や年齢層によっても紹介する店を変えるという。

タクシーで高速に乗った場合の料金はどうなる?

タクシーで高速に乗るなんて、よほどのセレブか、緊急事態が起きた人かのどちらかだと思うが、万が一乗ることになったら料金は?
タクシーの料金は走行時間と距離が関係していますが、高速道路を走行する際は、時間は加味されなくなります。料金メーターの機器に『高速』というボタンがありまして、高速のインターチェンジに入る時に押します。すると、距離だけで加算されていくようになります」

高速料金を頂く代わりに、時間は加味しないという訳だ。ちなみに鐘井さんの場合は、高速を使って横須賀から石巻まで行ったことがあるという。

――その時の料金は覚えてます??
「何年か前の話ですが、走行距離500キロほどで、16万円ぐらいだったと思います」

遠出をする場合は、燃料の問題も生じてくる。タクシーはLPガスなので、どこでも燃料が入れられる訳ではない。知らない土地に行く時は、LPガスが途中でなくならないか、気を揉むことも。

●運転手がお客さんを乗せてはいけない場合がある

さて、鐘井さんが遠くの場所に行ったからといって、帰り道にお客さんを乗せていいかというと、答えはNO。
タクシー会社によって区域が決められていますから、お客さんの目的地が区域内でしたら良いですが、区域外でお客さんを乗せてしまうと違法行為にあたります」
――万が一、区域外にいる時に乗せて欲しいというお客さんに遭遇した場合は?
「理由をお話して、丁重にお断りいたします」
運転手さんに断られたからといって、怒らないようにしましょう。

●どうしてもタクシーが捕まらないときのコツ

「例えば、駅や大きなイベントを開催している会場など、お客さんを降ろした後にタクシーが戻ってくる場所があります。土地勘が必要となりますが、そういう場所に戻ろうとしているタクシーを捕まえる方法もあります」
※駅のすぐ近くなど、場合によってはタクシーがお客さんを乗せてはいけないエリアもある。この場合も、断られたからといって、怒らないようにしましょう。

●20時間も運転するタクシーの運転手さんに聞いた、休憩のコツ

タクシーの運転手さんの勤務時間は長い。およそ20時間も拘束されるため、当然、疲れも溜まってくる。その半分しか働いてなくても疲れてしまう私にとって、どのように休憩しているのかも知りたいところだ。
「人によって違うとは思いますが、私の経験上、他の運転手と喋っているか、軽く運動をするのが一番ですね。休憩だからといって車内にいても、疲れはとれません」
駅のタクシー乗り場で、運転手さん同士が喋っている光景を見かけるが、あれはまさに効率の良い休憩の仕方なのである。

●相乗りしてタクシー料金を浮かせたいという人のためのアプリがある。

同じ方向に行きたい人がいれば、少しでも"シェア"してタクシー料金を浮かせたいところ。そんなアナタのための無料のアプリがあるという。題して『相乗り屋.net』。ここからは、運営元であるチャンネル・ナイン株式会社代表の鶴久英二さんにお話を伺った。

――どういうアプリなんですか?
タクシー乗り場が行列の時に、相乗り相手を探すアプリです。Facebookと連携しているので、相手がどんな人か分かりますし、Facebookに共通の友人がいるかどうかも一目でわかります。といっても、見知らぬ異性や、年齢が離れすぎてる人と相乗りは緊張する・・という人のために、年齢や性別で相乗り相手の条件を設定出来る機能を用意しました。」

――確かに、「一緒の方向の人がいたら、相乗りしませんか」って大きな声で呼びかけるのは抵抗がありますからねぇ〜。
「私もそうですが、ほとんどの人は、黙って並んでますよね。声をかけるのはやはりハードル高いなと。ちょっと待ちそうだなあという時は、取り敢えず相乗り登録しておくことをお薦めします。アプリを起動して、行き先を設定〜相乗り登録ボタンをタップするだけなので、簡単です。登録すると、付近で相乗り待ちをしている人の一覧が表示されますから、相乗り出来そうな相手を探して『相乗り申請』、相手が『承認』したら相乗り成立です。みんなで相乗りすれば、その分、行列も短くなりますしね。相乗りが流行ったらいいなあ、と」

家を知られたくない場合は、少し手前の場所で降りるようにすると良いという。

「駅に着いたら『まずはタクシー乗り場で相乗りチェック!』が習慣化するといいですね。co2も減りますし、相乗りだったら、(安いし)タクシー使おうかな、という人も増えるんじゃないかな。あ、乗客同士で行う相乗りは違法行為ではありません。念のため」

さすがに、乗客がいないようなシチュエーションでは一人で乗るしかなさそうだが、大きな駅のタクシー乗り場など、たくさんの人がタクシーを待っているようなところだと使ってみる価値はあるかもしれない。