八王子実践vs昭和鉄道 八王子実践、5回コールドで都大会進出
力投する栗田(八王子実践)
八王子実践と言えば大林素子をはじめとする女子のバレーボールが有名であるが、野球も昨夏はベスト16、2001年にはベスト4に進出するなど、ここ十数年の間に力をつけてきた。一方の昭和鉄道は、鉄道関連会社の志望者が多い「鉄ちゃん軍団」。
実力に勝る八王子実践だが、西田満監督が「立ち上がりは緊張のせいか、どうも力を出せない」と語るように、初回は2三振、2回は走者を2人出しながらも、8番栗田海人が三振に抑えられ、無得点に終わった。逆に言えば、昭和鉄道の先発・秋間智希がカーブ、スライダーなどをコーナーに決めて、八王子実践打線を抑えていた。
ところが二巡目あたりから八王子実践もエンジンがかかり出した。3回表、先頭の9番武者直裕がレフト前ヒットで出塁すると、1番新井瑞樹がバントで送り、続く橋本翔が四球で出て一死一,三塁。そこで一塁走者橋本が盗塁すると、昭和鉄道の捕手門馬雄太の悪送球を誘い、ます1点。さらに勅使河原司が四球で出塁すると、4番小野将輝、5番楠豊が連打し、さらに6番高橋寿行がライトオーバーの三塁打を打って、この回一気に5点を挙げた。
それでもその裏の昭和鉄道は、先頭の一番丹野日出彦が中前安打で出塁し、反撃の兆しをみせたが、一死後、3番田中貴大の三遊間の鋭い打球を八王子実践の遊撃手勅使河原が飛びついてキャッチし、二塁へ素早く送球してダブルプレー。相手に流れを渡さなかった。
こうなると完全に八王子実践のペース。4回表は橋本の二塁打など2安打2四球で3点。5回表も3安打2四球にエラー、パスボールなどが重なり5点を奪った。
4番小野(八王子実践)
一方、八王子実践の先発である背番号11の栗田は、初回こそ四球、安打による2人の走者を出したものの、後は内野の好守もあり付け入るスキを与えず、5回を被安打2、奪三振10という完璧の内容であった。結局、5回コールド、13―0で八王子実践が勝利し、都大会出場を決めた。
昭和鉄道先発の秋間は、秋季大会は投げていなかったが、最近自信をつけてきて先発起用になった。ただ、「自分で抑えようと力が入り過ぎた」と、昭和鉄道の姫野和紀監督は悔やむ。
昭和鉄道の練習場は、埼玉県坂戸市にある。もっとも練習場を使えるのは、週末のみ。その週末も、雪が多かった今年は、霜柱が立つことも多く、思うように練習できないこともあった。春は都大会を前に下車することなったが、夏はさらに前に進みたいところだ。
都大会出場を決めた八王子実践は、この冬の大雪で実戦練習は不足しているものの、その分、基礎体力はつけてきた。それだけに、エンジンのかかりが遅いことが課題だ。
都大会の初戦は国士舘。西田監督は、「強い相手ですが、いかに自分たちの野球ができるかです」と、抱負を語った。
(文=大島裕史)