【米国はこう見ている】オープン戦初登板の田中将大を、辛辣なニューヨークメディアも高評価
「マサヒロ・タナカがデビュー戦で輝きを放った」
ヤンキースの田中将大投手(25)が1日のフィリーズ戦でオープン戦初登板を果たし、2回2安打3奪三振と上々のスタートを切った。大注目の右腕の“デビュー戦”に、辛辣なニューヨークメディアも高い評価を与えている。
米ケーブル局ESPNニューヨーク(電子版)は「マサヒロ・タナカがデビュー戦で輝きを放った」と題し、その投球内容を伝えた。田中が5回に登場すると、大観衆からスタンディングオベーションで迎えられた様子を紹介。5回には94マイル(約151キロ)の直球でヘルナンデスを、6回には「有名な」スプリットでリビアを空振り三振に取ったことを詳しく記している。
また、チームメートの称賛の声も紹介。この試合に先発したエースのCC・サバシアは、伝家の宝刀のあまりの落差に「あのスプリットは汚いよ」と最大限の賛辞を送っている。さらに、ジョー・ジラルディ監督も「彼は自分の仕事をやってくれる」と早くも信頼を寄せ、「次は先発させる」と明言したという。
ニューヨーク・ポスト紙(電子版)も名物記者のジョージ・キング氏が現場で投球を見届けた。サバシア、黒田博樹との「三本柱」が6回を無失点リレーしたことを評価した上で、「田中の第一印象はポジティブだった」としている。
スプリットは「最高にいやらしいボール」
ルーキー右腕は制球力に定評があるとして、実際に32球中23球がストライクだったとしている。ESPNと同じように直球が94マイルに達したことに触れ、スプリットで三振を奪われたリビアは救いようがなかったと表現。スプリットは「最高にいやらしいボール」だったと独特の表現で絶賛している。
さらに、ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、田中がマウンドに上がったのが日本時間午前4時15分と早朝だったにもかかわらず、日本のテレビ局3社が生中継を行ったことを紹介。「三本柱」のリレーがあったこともあり、「2番・遊撃」で先発したデレク・ジーターは「後回しだった」としている。今季限りでの引退を表明しているヤンキース随一の人気選手をかすませるほど、田中のデビューに注目が集まった。
投球内容については「手が出ないわけでも、群を抜いていたわけでもなかった」と冷静に評価している。ただ、「いくつかのいいスライダーがあった」と得意の変化球について言及し「立派なパフォーマンスで春季キャンプのデビュー戦を終えた」と合格点を与えた。
直球、スプリット、スライダーと、田中は軸になるボールでいずれも強い印象を与えた。まだ1試合だが、大物ルーキーに対する期待は確実に高まっている。