エルズベリとのプレーを熱望するガードナー

 この男が活躍すれば、イチローの立場は極めて厳しくなる。ヤンキースのブレッド・ガードナーが、今季もチームに貢献できるとして自信をのぞかせている。米紙ニューヨーク・ポストが報じたもので、ジャコビー・エルズベリーの加入にもネガティブな様子は見せず、レギュラーとして活躍することを誓っている。現状では外野手5番手と見られているイチローが定位置を確保するには、やはり高い壁を越える必要がありそうだ。

 ヤンキースは今オフ、宿敵レッドソックスからエルズベリーを獲得した。昨季はセンターのレギュラーとしてプレーしたガードナーにとっても、この補強は衝撃だったようだ。「最初は驚いたよ」と素直に当時の心境を打ち明ける。ガードナーはイチローと共にトレード候補として名前が上がったが、それは当然、本人の耳にも入っていたという。田中将大の獲得がなかなか決まらない状態で、ガードナーと引き換えに先発投手を獲得するという噂が渦巻いていた。

 しかし、ブライアン・キャッシュマンGMはすぐに公の場でガードナーの放出を否定。エルズベリーと外野で同時に起用すると公言した。ガードナー自身もジョー・ジラルディ監督から説明を受けていたという。

「彼は電話してきて、僕がどう感じているかを確かめた。そして、僕のことが必要じゃないわけではないと説明したんだ。彼らはまだ、僕がこのチームで大きな役割を果たすと考えてくれている。僕は誰も手を差し伸べてくれないと思っていたけどね」

 当初は失望していたガードナーの気持ちをつなぎ止めたのは、首脳陣の素早いフォローだった。

 客観的に考えれば、ガードナーの将来は明るいわけではない。昨季の定位置だった「1番・センター」の役割はエルズベリーが務めるため、ポジションはレフト、打順は下位になる見込みだ。ただ、ガードナーは「それは考えないようにしている。それは自分にはコントロールできない。打順については本当に何の予想もしていないよ。たくさんの選手がいるからね」と話す。

 チームには、2人に加えてアルフォンソ・ソリアーノ、イチロー、そして新加入のカルロス・ベルトランと5人の外野手がいる。ただ、ガードナーは「開幕までには色んなことが起こるはずだ。僕はまずキャンプに行って、チームの勝利に貢献することしか考えていないよ」と落ち着いている。自信の表れと言えるかもしれない。そして、「彼はどんなチームにもいいものを与えてくれる。彼のそばでプレーして、学びたいね。特に、彼は同地区の投手について知り尽くしているはずだから」と、エルズベリーとともにプレーすることを熱望する。

 一時はチームを離れる可能性が浮上しながら、球団の首脳陣から必要性をしっかりと示されたガードナー。それとは対照的に、イチローに対してはいまだ明確な方向性は示されず、トレードの噂も後を絶たない。この“序列”を覆していくには、相当なインパクトが求められるのかもしれない。