ニューヨークで合法化に向けた動きが加速する医療用マリファナ法
By Marijuana CashCrop
マリフアナは服用すれば多幸感が得られ、鎮痛作用や食欲増進作用などもあるので世界中で嗜好品や医薬品として使用されています。法的に医療用マリフアナが認められている地区は現在アメリカに20あるのですが、ニューヨーク州も新たにその仲間に加わろうとしています。しかし、ニューヨークで州知事を務めるアンドリュー・クオモ氏は、長らく医療用マリフアナの合法化に反対してきた人物として知られています。これまで医療用マリフアナ反対の立場を取っていたクオモ知事は、なぜ立場を変えて合法化に向けて動きを始めたのでしょうか?
http://www.nytimes.com/2014/01/05/nyregion/new-york-state-is-set-to-loosen-marijuana-laws.html
他の州が徐々にマリフアナに対しての姿勢を崩していく中、2014年1月8日、クオモ州知事は「軽い背中の痛み」程度では使用できないように厳格な制限を設けつつ、医療用マリフアナの合法化に向け州内での州内での医療用マリフアナ合法化の方針を発表しました。
クオモ州知事が提出している医療用マリフアナに関する法案は、マリフアナの完全合法化からはほど遠いものであるにもかかわらず注目の的となっています。
これは、長い間ニューヨークが麻薬に対してひときわ厳しい姿勢を貫いてきた州だからであり、これまでかたくなにマリフアナに反対してきた州知事が少しずつマリフアナ支持者たちに歩み寄っている、という状況が注目を集める結果につながっているようです。
By Brandon Marshall
そんなクオモ州知事が医療用マリフアナに関する考えを変えるきっかけとなったのは、ニュージャージーで州知事を務める共和党のクリス・クリスティ氏のマリフアナに対しての姿勢であるとNYTimesは記します。
次期大統領候補の1人でもあるクリスティ州知事は、彼の前任者であるジョン・コーザイン元ニュージャージー州知事が成立させた医療用マリフアナ法をいったん停止したうえで、「家庭への出荷禁止」や「医療用マリフアナの処方を希望する患者は従来の治療法を試し尽くしていることを証明する必要がある」などの多くの制限を設けたうえで改めて医療用マリフアナの利用を解禁したそうです。
現在ニュージャージーではマリフアナの処方を許可された6つの薬局がオープンしているように、市場に出る量をうまく制限しながら医療用マリフアナの需要を満たしています。
By Levi DeVos
シエナ大学が行ったニューヨークでの世論調査によると、医療用マリフアナへの州民の支持は圧倒的で、投票者の約82%が医療用マリフアナを支持していることが明らかになっており、この結果が2014年に州知事選をひかえるクオモ氏の方針変更に影響を与えているとの指摘もあります。
これまでにニューヨークで同性婚の合法化を支持したり、コネティカット州の小学校で起きた銃乱射事件を受けてアメリカ国内でも特に厳しい銃規制法を成立させたりすることで、政治基盤を固めてきたクオモ州知事が、今度は「医療用マリフアナの合法化」を政治利用しているのではないかとNYTimesは見ているようです。
By saebaryo
一方、クオモ知事の法案を優れたものであると評価する意見もあります。これによると、クオモ州知事の医療用マリフアナ法案は、既存の公衆衛生法にある「がん患者や緑内障患者、およびその他の疾病で苦しむ患者が委員によって承認されれば、規制薬物の使用が可能になる」という部分から着想したもので、クオモ氏はこの公衆衛生法よりもより厳しい基準の医療用マリフアナ法を作ろうとしているとのこと。
Drug Policy Allianceの重役であるイーサン・ナーデルマン氏はこのクオモ州知事の法案を「行き詰まりを解決する大胆で革新的な対処法」として称賛し、「クオモ州知事はアメリカ国内で最良の医療用マリフアナ法の制定をしようとしている」と発言しています。
また、NYTimesはクオモ州知事の見解を事前に説明されていたある人物から、「クオモ州知事の方針が大きく変わったのは、医療用マリフアナはそれを必要とする患者の助けになり、厳格に制限すればニュージャージーのように乱用の危険性も抑えられる、と彼自身が確信を得たから」という旨の発言も得ています。
By Ryan
これまで医療用マリフアナ法案は4度も州議会に提出されていますが、いずれも上院から承認を得る段階で頓挫してきました。また、現在の連邦法はマリフアナの栽培を禁止しているためマリフアナの供給源を確保する必要もあるので、まだまだ医療用マリフアナの合法化には険しい道のりが待っているようです。