パ・リーグに先駆け、ひと足早く始まるセ・リーグの覇者決定戦。
過去6年中5度はシーズン1位のチームが優勝を果たしているので、たびたび下剋上が起こるパ・リーグほど波乱の傾向にはないが、果たして広島ファンの「今年のカープはブチ強いけー、あがーでも巨人に勝ちよるかもしれんよ」という期待に応えられるだろうか。

シーズンを通して敗け越しているチームだけに、終盤戦の追い込みをどう評価するかにかかっているのだが、言うまでもなくセ・リーグの場合、下位チームがかなり弱い。
加えて絶賛失速中の阪神と、ポストシーズンに備え調整段階に入っていた巨人、という図式の中で達成された快進撃である。

広島は9月14日からの巨人戦を3連勝したのだが、すでに優勝が秒読み段階に入っていた巨人は、連敗しているにもかかわらず3戦目で阿部をスタメンから外し、二年目の今村を先発起用して3タテを喰らっている。

この3連戦以前の広島は対巨人を3勝12敗と大きく敗け越しており、本気の巨人相手には極めて分が悪い。
これは送りバントと盗塁を多用する野村監督の戦術が、平均得点4.12という打線と盗塁阻止率.368の阿部に跳ね返されたものと考えられる。

手堅く点を獲っても、マエケン以外の先発陣は防御率3点台半ばの投手ばかりだから、ほとんどが僅差敗けになってしまうし、苦し紛れに走らせても4割近くが憤死だから、不利な戦況を動かす力にもならなかった。

8連勝の西武がそうであったように、シーズン終盤の駆け込み連勝はあてにならない。
日本画ではスイスイ滝をのぼる鯉だか、生身の鯉がのぼるのは急流(1stステージ)までというのが現実だったりするのである。