まさに飛ぶ鳥落とす勢い!

今年は大変気持ちがよいシーズンをすごしています。言うまでもなく、僕が応援する埼玉西武ライオンズが首位を快走しているからです。2位につける千葉ロッテも伊東監督が率いてG.G.佐藤が所属する第2西武(※コクドみたいなもの)と位置付ければ、パ・リーグの貯金を西武グループが独占しているわけです。今年は2008年以来のパ・リーグ優勝、日本一も望めるのではないでしょうか。

僕が西武ファンだと知る会社の知人からよく問われるのが、何故今年の西武はこんなに強いのかということ。確かに中島裕之のメジャー移籍、中村剛也の長期離脱、片岡易之の神隠し(※選手名鑑でも何故か見つからない)などなど、主力選手の離脱は戦力ダウンにつながっているはず。それなのにこの順位にいるのは僕も納得がいきません。一ヶ月ほど思索を巡らせた結果、僕は主に5つの理由があると考えました。

まず第一に日本プロ野球全体の地盤沈下。これはセ・リーグでDeNAが3位につけていることからも明らか。それに関連して第二に、ソフトバンクと日本ハムの自滅。たぶん向こうが勝手に負けているだけで別にコッチが強いわけではないと思います。

そして第三にプロ野球界全体での助け合い。不採算部門は切れと米国サーベラスグループに詰め寄られる西武球団のために、さまざまな思いやりが寄せられているのではないでしょうか。これは日程面などを見るとジンワリと感じることができます。ここまでの営業期間でもっとも換金性の高い開幕週、ゴールデンウィークの休日に西武は常にホーム開催となっています。さらに交流戦の土日開催は巨人戦(在京)と阪神戦(人気)、ヤクルト戦(在京)、DeNA戦(在京)で埋められています。そうです、客の入らない中日戦、客が遠くにいる広島戦は上手いこと稼ぎ時から外れてくれたのです。

このほかにも8月お盆時期のホーム6連戦など、ここぞというところでホームとなる日程。これは「客の来る日に試合をやれよ」「少しでも稼げよ」「そしてサーベラスの要求を突っぱねろよ」と、球界全体が西武を後押ししているに違いありません。客の多い日にホームで試合をすれば、普段よりちょっとチカラが出ても不思議はありませんよね。

こうした周辺状況に加えて若手の成長も挙げることができます。新人王候補にも名を連ねるドラ3ルーキー・金子侑司。打率はさすがに3割を割り込んできましたが、完全に主力と言える活躍でショートの穴を埋めました。長打力が開花し、連日豪打爆発中の坂田遼は13試合で打点19、満塁弾含む4本塁打と「左おかわり」といった存在に。ちょっと前まで計算されていなかった選手が計算に入ってきたのですから、強くなって当たり前。さすが育成と更正には定評のある西武。移籍に頼らないチーム編成はサーベラスにも評価してほしい部分です。

そして、最後が「西武の中継ぎ」と評される終盤戦の弱さ。「西武の中継ぎ」と言っただけで「リードしている試合を救援陣のクソ投球でひっくり返されて負けるお笑い野球」という意味になる。多くのプロ野球ファンがそういった認識を共有している。これは本来なら凄まじいハンデです。

しかし、獅子は千尋の谷に我が子を突き落すと言います。まさにこれこそ西武球団の強化策だったと言えるでしょう。有望な選手をすべて先発に回す。抑え候補はクソみたいな外人しか連れてこない。去年アカンかったヤツを翌年さらに重用する。こうした球団の方針が選手たちを劇的に強くしてきました。まるで常に重りを背負って戦うように、選手たちの地力を成長させてきたのです。

今年は救援陣に若干のまともさが生まれており、今までなら4点リードは簡単にひっくり返されたものが、2点リードくらいで勝てるようになりました。「5点差つけないと安心できない」だったものが「3点なら大丈夫かな?2点でもいける?えっ1点リードって勝ちなの!?」という状態になったのですから、心理的にはグッと余裕が生まれて当然。千尋の谷から這い上がるまで5年くらいかかりましたが、ついに実りの時を迎えた…そんな印象です。