/地方に期待しても、キミは悪役外国人レスラーとしか思われていない。連中には連中の絶対固定の序列があり、報復を恐れて、だれもそれを動かすことを望んではいない。短期的に搾取して成果を踏み台に中央返り咲きを狙うか、さもなければ何もしない方がまし。/

 春から新生活。ゴミゴミした都会を離れ、自然も豊かで、通勤知らずの地方都市に赴任するという人も多いだろう。だが、行っても何もするな。連中はかなり面倒だ。

 第一に、キミは中央での敗北者、都落ちの左遷と思われている。地位肩書がどうあれ、連中からすれば、キミは、地元のトップより下。田舎国体に見られるように、連中は、外のやつを呼んでおいて、こてんぱんに叩き潰し、地元の強さ、すばらしさを確かめないと気が済まない。戦争疎開で都会の転校生がイジメられた時代からまったく進歩していない。そこでのキミの役は、地元のトップとやらに叩きのめされる悪役外国人レスラーだ。

 第二に、キミ自身がどう思っていようと、キミにとって地方が中央に返り咲く踏み台にすぎないと思っていると連中は思っている。実際、地元出身を売りものにして当選した有名人県知事たちですら、その後も地元に残って尽くしたやつなど、ほとんどいない。それどころか、任期も早々に切り上げ、さっさと中央に戻ってしまう。

 第三に、地元には絶対固定の序列がある。高校でも、デパートでも、住む地域でも。キミがはりきって赴任先の成績を伸ばし、上位に押し上げたりしたら、押し上げられた支社の従業員たちですら、居心地が悪くなり、ひたすら当惑する。おー、偉くなったもんやなー、ついこないだまで、はいつくばって、買ってください、買ってください、言うとったのに、てな、嫌みをどこかしこで浴びせられる。そんな支社の従業員の家族が近所のスーパーで牛肉を買っただけでも、すぐにウワサになる。田舎とは、そういうところ。

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