人事とは、環境の変化に応じて組織や人材を最適化する機能であり、まさに今、人事部の時代認識が問われていると言ってよい。

HR総合調査研究所が、この2月に、人事担当者282名に調査した結果によれば、企業人事が重要だと考えている課題として、「優秀な人材の確保」「社員の教育・能力開発」「社員のモチベーションアップ」が上位となった。この調査では、5年後に重要となる課題についても聞いているが、これらが上位を占めており、概ね重要課題は現在も5年後も変化はないというのが人事担当者の考えのようである。

この調査を見て、私が非常に違和感を覚えたのは「中高年社員の活用」を重要な人事課題とした人が、23%しかいないことだ。19項目あるうちの、17番目である。5年後の予想についても26%で、人事担当者は「中高年社員の活用」を重要課題と認識していないことが、よく分る結果となっている。「中高年社員は十分に活躍しており、改めて活用を考える必要がない。」ということだろうか。あるいは、「活躍できていないが、ポストや給与をそれなりに調整する仕組みがあるので、問題ない。」ということだろうか。

いずれも、違うと思う。ほとんどの会社は、どのような役割を与えればよいか、給与と評価をどう設計すればよいか、など中高年社員の処遇に悩んでいるはずだ。バブルが崩壊して以降、企業の成長が鈍化し、ポストや人件費の観点から中高年社員の処遇は問題になってきたが、ほとんどの会社でこれまで大した対策は打たれていない。専門職制度を作ったり、役職定年を設けたり、早期退職制度を作ったりしてポストを空け、人件費の軽減を図る。そのほかは、給与の上昇を止めるための仕組みを作ったくらいだ。


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