高級化粧品ブランドの「クリニーク」が若年層の新規顧客獲得を狙って、販促バスツアーを展開した。その設計と効果のほどはどうだっただろうか。

 6月1日付日経MJのコラム「プロモーションスタイル」に同施策が紹介された。しくみはブランドロゴと商品を印刷したラッピングの二階建てロンドンバスで東京以西の会場をめぐって、同社の商品を体験してもらうというものだ。仕上がりを撮影し、雑誌「ノンノ」風の冊子の表紙にモデルとして載せてもらえるというオマケ付きである。

 景気低迷の折り、販路である百貨店の集客は低迷し、売り場も2割減少。若年層の来店も減る中、その層との接点確保が課題であったとのことだ。<百貨店に足が向かないのは単に高級化粧品に興味がないわけではなく、気軽に化粧品を試しにくい売り場の雰囲気を問題視>したのが施策展開の原点だという。

 今までと異なるモノを導入する際に必要な要素を、「イノベーション普及論」のE.M.ロジャースが定義しているが、その中でも「試行可能性」は極めて重要だ。本格使用に至る前に、試し、効果を実感することが欠かせないのだ。
 消費者の態度変容モデルの1つである「AMTUL(Awareness:認知→Memory:記憶→Trial:試用→Usage:日常使用→Loyalty:ロイヤル化)」でも「Trial」を獲得できるか否かは、その後、実際に購入し日常的に使用するようになるためには欠かせない分水嶺なのである。

 この施策の秀逸なところは、「単に試して終わり」ではなく、実店舗への誘導が設計され効果を挙げていることだ。そのカギとなっているのが「ノンノ風冊子」である。<そこに近隣の店舗を記載したところ、約4割が来店した>とある。

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