ワコールが下着売り場をテコ入れしているという。客足が落ちる百貨店で生き残りを賭ける秘策はなんだろうか。

 5月30日付日経MJ記事に「ワコール、百貨店テコ入れ 下着売り場提案/客層分析も 購入単価引き上げ 改装、年10店目指す」というタイトルの記事が掲載された。
 単純な計算であるが、売上=客数×客単価である。客足が落ちているのであれば、客単価を向上させて売上を維持するしかない。それが基本戦略の方向性なのだ。記事によれば、<従来下着メーカーの役割は商品を卸すだけだったが、周辺の顧客分析からレイアウト提案まで手がけ、購入単価を引き上げる>とある。そして、<売上高が2桁伸びた売り場もある>と、成果も出ている。

 客単価向上の秘策は「買い回り」だ。4月に渋谷に開業した東急百貨店の新業態「シンクス」。そこのワコールの売り場は<天井には大きな欧州製のシャンデリアがつり下がり、店の中央にはホテルのロビーにあるようなソファーが構える。まるで高級ブティックだ>と記事にある。狙いは<「お客様が回遊しながら長居できる空間を作った」>ということだと同社役員がコメントしている。
 「客単価」を分解すれば、「客単価×買い上げ点数」だ。居心地のいい店舗でゆっくりと買い回りして、買い上げ点数が増えれば客単価は上がる。シンクスでは<通常の売り場の2倍である客単価2万円で推移する>とある。そのヒミツは快適な売り場というだけではなく、徹底した顧客分析による商品構成や売り場レイアウトにあるという。その結果、同店は「都市型・キャリア層」という明確なターゲティングを実現した。


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