切ない“処女喪失”10代、20代、30代のそれぞれの世代の女性の心情を丁寧に描写した『ヴァージン』
12日、10代、20代、30代のそれぞれの世代の女性の“処女喪失”をテーマに描いたオムニバス映画『ヴァージン』の初日舞台あいさつが、新宿K'sシネマにて行われ、佐藤睦・田村健太郎・今泉力哉監督(10代篇『くちばっか』)、大崎由希・梅田絵理子・福島拓哉監督(20代篇『ゴージャス・プリンセス!』)、正木佐和・柳俊太郎・吉田光希監督(30代篇『ふかくこの性を愛すべし』)が登壇。主演女優3人が作品に対する強い思いを語った。
10代篇のヒロイン翠は姉のことが好きな相手とのロストバージン。積極的に彼を誘う役柄に佐藤は「(自分自身が持っていた)高校生の不安定な気持ちを考えて演じました」と語りつつも「今の高校生は世間に目を向けて生きているんだな」と自分とのギャップを吐露。
大崎演じる20代篇の主役・アズサはブスで根暗で卑屈で性格が悪い女の子。普段グラビアアイドルとして爽やかな笑顔を振りまいている大崎だが「自分にも卑屈だったり根暗だったりする部分があるので、そこにシンクロさせて演じました。アズサはいつも何かと戦っている子。ロストバージンによって殻を突き破り輝くことができた。わたしもこの作品でトップレスになるなど、自分の感情を外にさらけだすことができた思い出深い映画です」と強い視線で語る。
35歳で処女、本当の愛を知らない女性・和代を演じた正木は「(吉田)監督が取材した資料などを読んでいたので、役にはすんなりと入っていけました」と当時を振り返るが、前作の『UNDERWATER LOVE ‐おんなの河童‐』で見せたイメージとは真逆の静かな役柄に「監督をはじめ周囲にサポートしていただけた。新たな自分の表現方法を見出せた作品です」と大崎同様、この映画に対する強い思いを語っていた。
本作は女性の“処女喪失”を10代、20代、30代の視点から描いたオムニバス映画。一生に一度という女性にとっては大切な経験を通して、さまざまな人々の人生観や価値観を生々しくあぶりだしていく。(磯部正和)
映画『ヴァージン』は新宿K'sシネマにてレイトショー上映中