東京電力による企業向け電気料金の値上げが始まった。しかし、4月12日時点で新料金の契約更新に同意したのは、全体のわずか約36%にすぎない約1万8100件。ほとんどの企業が値上げに納得していないことが分かる。

 東電は値上げに応じない企業に対し、「電気供給の差し止め」も辞さない姿勢を示唆している。もし、個人で不払いを行った場合も、やはり電気は止められてしまうのか。

『東電滞納・不払いプロジェクト(仮)』という運動を立ち上げた、はたぼう氏と、とみじい氏は、「事故原因もわからないのに、原発再稼働とは許せん!」という意思表示のため、すでに不払いを実行している。2人に、電気料金不払いの心得について聞いた。

●払わないでいると、具体的にはどんなことが起こる?
「通常の請求書に書かれた期日までに払わないと、催促はがきが来ます。それでもなお払わないと、東電社員か委託会社の人が『重要』と書かれた書類を手渡しに来ます。誰もいなければポストに入れて帰ります」(はたぼう氏)

●それでもまだ払わないと、最終的にはどんな手段をとられる?
「検針日の翌日から50日目の最終期日までに払わないと、東電の集金人がふたりひと組で『払ってください』と言いに来ます。脚立を持っていて、特別な事情がなければすぐに電気を止めます。ここで彼ら社員に、東電に対する考えをぶつけるのが効果的です」(はたぼう氏)

●電気を止めるというのは、具体的にはどんな作業をする?
「家の外の電気メーターの電線が2、3本抜かれます。そうすると家の中が真っ暗で静かになります。冷蔵庫の音すらしません」(とみじい氏)

●電気料金の一部だけでも支払えば、電気は止められないで済む?
「振込用紙を郵便局のATMに入れると、画面に『訂正』と出てきますので、そこで請求金額の訂正をすることができます。最終的には全額払わないと止められます。ただ、延滞すると年利10%の利息がつくので、一部でも払えば利息は少なくなります」(はたぼう氏)

 結局、料金を滞納すると、電気が止められてしまう上に、利息付きで請求され続けることになる。かなり不便な生活だが、2人がそうまでして不払いを断行する理由とは何か?

「東電の電気事業の営業利益の9割を占める規制部門のうち何割かの人が不払いをすると、かなりのお金が期日に入らず、キャッシュフローが悪くなります。それに、いちいち東電社員や委託会社の人が家に行くコストもかかります。そこまでしてやっと、独占企業で傲慢な東電は客の話に耳を傾けるようになると考えています」(とみじい氏)

(取材/頓所直人)

【関連記事】
脱原発、クリーンエネルギー産業の活性化。東電解体のメリットとは
15〜20%の値上げを目論む東電の電気料金は、コスト削減で17%値下げが可能
今度また、原発が事故を起こしたら現行の電気料金が3倍になる?
キロワット当たり5.3円が実は10.7円?「原子力発電は低コスト」というウソのカラクリ
総額269億円のムダ。東電・電気料金水増しの要(かなめ)“普及開発関係費”とは?