伝説の「10.9東京ドーム」の第一試合で戦ったふたり、永田裕志と桜庭和志が、17年の時を経て振り返る。あの“熱”はなぜ生まれたのか?

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 日本のプロレスがもっとも熱かった日、それが1995年10月9日だ。長州力を頂点とするストロングスタイルの新日本プロレスと、高田延彦率いる“U系”継承団体・UWFインターナショナルの全面対抗戦。会場となった東京ドームには、立ち見が溢れる6万7000人もの大観衆が集まり、結末が予想できない全8試合を見守った。

 あれから17年、第一試合のタッグマッチで戦った永田裕志と桜庭和志が、その対抗戦が収録されたDVDマガジン『燃えろ!新日本プロレス 至高の名勝負コレクションvol.10』の発売を記念して、対談を行なった。ふたりが伝説の「10.9」を振り返る。

【永田】お客さんがすごく入ったことを覚えてますね。僕はその前の横浜アリーナ(9月23日の前哨戦)を経験してますから緊張はしなかったんですけど、控室ではみんな緊張してましたよ。暗かったですもん(笑)。

――入場シーンを見ると、けっこうUインター勢は浮足立ってる感じがするんですけど、桜庭さんだけは淡々としてるんですよね。

【桜庭】……覚えてないです(笑)。だけど、入場のときの花道が長くて、半分くらいにならないのかなって思ったりはしましたね。試合はタッグだからどうにかなるだろうって思ってたんですよ。疲れたらすぐにタッチしようとか(笑)。

【永田】僕らの試合は第1試合でしたけど、何をやってもお客さんが盛り上がってくれましたよね。実際、桜庭選手と試合をやってみて、強いな、うまいなって思いましたよ。

【桜庭】僕はハメられたと思いました。

【永田】なんで?

【桜庭】僕は当時、サソリ固めを使ってたんですけど、永田さんが寝てる状態のときに「こい、サソリこい!」って言ったからサソリ固めにいったら、そのままゴロゴロってひっくり返されて足を取られて、僕はロープにエスケープですよ。だから「なんだよ!」って(笑)。

――このとき永田27歳、桜庭26歳。ともに大学のアマチュアレスリング部出身で、学生時代にはいっしょに練習したこともあった。そのふたりが別々の道へ進み、リングの上で運命の再会。第一試合から対抗戦特有の殺気漂う戦いが繰り広げられ、観客は一気にヒートアップした。この試合後、永田はアントニオ猪木から褒められたという。

――ふたりにとって「10.9」の第一試合とはなんだったのか?

【永田】出世試合のひとつですね。あれから17年もたつのに、こうしてDVDになって対談に呼ばれるんですから財産なんだなぁと思います。桜庭選手は今では総合格闘技の神のような存在になってね。

【桜庭】みんながあの対抗戦は良かったって言ってくれるのはうれしいんですけど、僕の最終目標は長州さんなんで(笑)。

【永田】まだ長州さんも現役ですから、チャンスがあるかもしれないですよ(笑)。

【桜庭】リキラリアットを受けたいです(笑)。

(取材/“Show”大谷泰顕、撮影/ヤナガワゴーッ!)

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